読書感想文「娼年(石田衣良)」

映画を観た後に原作に興味が出て、迷いましたが読みました。普通の大学生であるリョウが、どういった気持ちで娼夫として生きているのか、映画よりも詳しく伝わりました。結論としては、皆、愛を求めているんだな。という事です。今まで日常生活にやる気が持てなかったリョウも、リョウを夜の世界へと誘った静香も、リョウに恋をしている咲良も、そして何とかリョウに明るい世界で生きて欲しいと願う恵も、そして金でリョウを買う女性達も、全ては愛を求めているんだという事に、どこか共感が持てました。

もちろん。金銭で男性との一夜を買おうとは思いませんが、誰かに側にいて欲しい。不安に思う時には抱き締めて欲しいという気持ちは、誰にでもあると思うんです。ただ、そこに性欲があるかどうかの違いだけで。リョウも、最初こそは金の為と割りきっていたみたいですが、だんだん色んな女性と体を重ね、それぞれの事情を知った時に、心が本当の意味で解放されたのかもしれません。

そして、リョウが本気で愛したのは静香と咲良だけだったのかもしれません。恵の密告の為に、静香が捕まりました。本来ならば正しい筈なんです。ですが、静香が早く戻ってくる事を、リョウ達と共に願ってしまうのです。そして、リョウの前に現れた咲良は、どれだけ勇気が必要だったのでしょう。そして、リョウに手を握られ、どれほど安心したのでしょう。この作品は、どちらかというと性描写が多いので、嫌煙する人もいると思うのですが、根底にあるのは「純愛」だと思うんです。

なぜ、金銭が絡むと純愛に見えないのかと不思議に思ってしまいますが、最後まで読んでいくと、誰もが一時でも良いから、一瞬の純愛を求めているのだと感じる事が出来ると思います。これからもリョウ達は、女性の隠された欲望の為に夜の世界へと戻るのでしょう。でも、そこにあるのは互いの寂しさを埋め合う、純粋な気持ちからなのだという事を、周囲にも理解して欲しいと思いました。

 

(40代女性)

 

 

 

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