人間とオオカミ男が恋をするという非現実なところから始まるが、まるでどこにでもある話しのように感じる話であった。主人公・花はオオカミ男との間にオオカミと人間の間の子(おおかみこども)を生み、旦那を亡くしたシングルマザーとして2人の子供を育てる。おおかみこどもの存在を知られてはいけない為、田舎でひっそり暮らすのだが、日本の田舎ならではの閉鎖的な環境が描かれていてそこにストーリーの現実味を一番に感じた。
花はどちらかといえば孤立して一人で生きてきたような、どこか周りに打ち解けられずいた女性なのではないかということを読み進めて行く中で感じる。しかし、2人の子供と成長していく中で、そして田舎へ来て閉鎖的な人と人とが協力して生活を送るところへ参加せざるを得ない環境に入っていったことで、花が変化していくのを感じた。花は母として強く生きていこうとすることで、生命力が強い女性へ成長していくように感じた。
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一方で、おおかみこどもの雨と雪はそれぞれおおかみこども故に悩みを持って成長していく。しかし、これは人間でも置き換えることができることであると感じ、ここにも現実世界へのリアリティーを感じた。この2人の根源にあるのは「ありのままで生きることを受け入れられた時に感じる感動と喜び」であると思った。
そして、ありのままで生きていけないことへの葛藤も描かれていて、それは誰しも生きていく中で感じることで、このような人間らしい描写があることによりファンタジーであることを忘れてしまうような感覚にさせた。そして、読み終わった後に感じたのは「ありのままで生きる喜び」「誰かに受け入れられて生きていけるよろこび」というのは、花とオオカミ男が出会った時に2人が感じた気持ちであるということであった。
大切な誰かと(それがこの話では人間であったり動物であったり)交わることで、やっと自分が自分であることを全体を通して描いてある作品であると感じた。
(20代女性)
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読書感想文「おおかみこどもの雨と雪(細田守)」
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うん、うん
素晴らしい❗☺