読書感想文「か「」く「」し「」ご「」と「 (住野よる)」

京、ミッキー、ヅカ、エル、パラみんなに何らかの方法で人の心の中を読み取る能力があるが、実はこれは思春期の妄想ではないかと感じた。実際に人の心を読み取ることなどできない。しかし思春期特有の妄想で、自分には特別な力があるという慢心、人とは違うことへの優越感と不安などから自分には特別な能力があるのではないかと思い込んでいると感じた。
 
実際、私も中高生の時は自分には特別な能力があると思い込んでいた時期がある。例えば、「自分が望めば自分の思い通りになぜか物事が進む。」「私には誰が誰を好きかわかる。」というような類のことである。そして、この能力があるがために自分は人と深くつきあってはいけないし、人にこの能力がばれたら絶対に嫌われてしまうと本気で悩んでいた。
 

 
 
大人になった今考えると恥ずかしいやら笑ってしまうやらという気持ちだが、思春期にはこのような時期が必要なのではないだろうか。他の人と違うから自分はいいんだと思うための大切なステップだと思う。実際に作中でも、登場人物たちは自分の存在価値や、人の前とは違う本当の自分の姿に悩んでいる。
 
だけど、そういう時期を通してこそ、自分にしかできないこと、自分い課せられた仕事に気が付くことができるのではないだろうか。それは、エルがタイムカプセルに入れたメッセージからも推察することができる。思春期特有のアイデンティティの問題も感じつつ、甘酸っぱい恋愛模様も自分の昔を思い出すようだった。
 
私自身はパラのような性格なので、あまり恋愛に積極的だったとは言えない。どちらかというと、第三者的な立場で恋愛を楽しんでいる人たちを冷静に眺めている嫌な奴だったと思う。でも、少女漫画が大好きで実は誰よりも素敵な恋愛に憧れてもいた。自分もミッキーのようにはっきりとした態度がとれて、自分の気持ちに素直になれるような女の子だったら、もっと楽しい青春を過ごせたかもしれない。
 
でも、恋愛は相手の気持ちが分からないからこそ楽しいんだなと思った。これに関しては不思議な能力はきっとひつようないだろう。
 
(30代女性)
 
 
 

か「」く「」し「」ご「」と「
住野 よる
新潮社
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