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読書感想文「屋上のウインドノーツ(額賀澪)」

「屋上のウインドノーツ」の読書感想文

私はこの作品に登場する主人公の友人「瑠璃ちゃん」の言動に心奪われ、少し傷つき、そして救われもした。瑠璃ちゃんの言動はまるで私の子供時代のようだからだ。友達を作ることが苦手な主人公のためにことあるごとに世話をやく瑠璃ちゃんは、主人公にとって大変重荷になっていた。
 
主人公が瑠璃ちゃんと離れるために私立の中高一貫校だった中等部からわざわざ公立高校へ進学してしまうほどにである。瑠璃ちゃんに悪気は微塵もない。それどころか良かれという思いで全力で主人公のサポートをしている。まさか主人公に疎ましく思われていようとは、高校生になって再会するまで気づきもしないのだ。 
 
私は小学生の頃、担任の先生から頼まれごとをした。クラスで班を作る時にいつもあぶれてしまう女の子をあなたから誘ってあげてほしいというものだった。私は嫌だと言えず、次から班を作る時にはその子に声をかけるようにした。しかし私ともともと一緒に班を組んでいた子たちはその女の子が入ることが面白くなかった。
 
それからというものグループ内の会話は分裂し、いつもしらけていた。その後、中学を卒業してから私たちはまったく別の方面の高校に進学したため再会することもなく今に至っている。その女の子やグループの子たちがどのように思っていたのかを聞いたことはない。私は大人になってから当時のことを思い返すたびにとても苦々しい気持ちになっていた。
 
私はどうしたらよかったのかずっと自問自答してきた。先生からの頼みを断ればよかったのか?女の子にとっては余計なお世話だったのか?私は嫌われていたのか?でもその答えはずっと出ないままだ。しかし、この小説で瑠璃ちゃんは主人公と再会を果たす。別々の高校に入学したものの同じ吹奏楽を始めた二人は顔を合わせ、本音をぶつけ、関係を再構築することができた。
 
その時に主人公は瑠璃ちゃんを疎ましく思いながら、感謝している部分もあると述べていた。それは、当時ひとりぼっちにならなかったのは瑠璃ちゃんのおかげだということだった。私はこの一文に救われた。私がそう言われたような気がした。この作品を通して、私は青春の苦い思い出を少しさわやかに変えてもらえたように思う。
 
(40代女性)

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