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読書感想文「なんくるない(よしもとばなな)」

「なんくるない」の読書感想文①

もっと楽に生きよう。この本を読んで心からそう思った。いつ行っても思うのだが、同じ日本でありながら沖縄は時間の流れが全く違う。とにかくすべてがのんびりしていて、こちらまで穏やかな気持ちになれる。この本は短編集で、一つ一つの物語が異なる登場人物によって作られているが、物語の舞台は全て沖縄。
 
沖縄好きで毎年行っている私には読んでいて共感できることばかりだ。どの登場人物もなにかしらもやもやした気持ちを抱えて沖縄にいくのだが、そこでの出会いや沖縄それ自体に優しく心を癒されていく。「ほんのちょっと触れただけなのに、強い太陽の光の力や、そこへぐわーっと伸びていく緑や花の濃い色の植物の力がもう私を満たしていた。」
 
「着いたとたんにいきなり、沖縄は私にたくさんの光を注いでくれていた。咲き乱れる花とか、真っ青な空とか、美味しい食べ物とか、笑顔の人々とか、ちょっと色褪せた田舎っぽい街並みの、なんということのない屋根の上からこちらを見ているシーサーたちのかわいさだとか。」
 
どのお話も素敵だが、私がいちばん好きなのは本のタイトルにもなっている「なんくるない」だ。離婚して1年経つが、まだ前に進めずにいる女の人がふと思い立って沖縄にいくお話。そこでのできごとや出会いがとても素敵で、たまには一人で沖縄もありかも、と思ってしまう。よしもとばななさんの言葉の表現が沖縄の魅力をたっぷり伝えてくれる。食べ物の描写も素晴らしい。
 
「そしてそこの名物の『魚のマース煮』を頼んで、ていねいに食べた。大味な魚なのに、夢のように繊細な味がした。塩と昆布だけで似ているのに、甘くて、ふっくらとしていた。私は骨をしゃぶりつくして、汁もみんな飲んだ。」この言葉だけでもうお腹いっぱいだ。
 
この本を読んでいると、本当に沖縄に行きたくてたまらなくなる。きっと旅行者にしかわからない沖縄の魅力があると思う。ゆったりした時間の流れとか人々のあたたかさとか。働いているとのんびり自分のために過ごす時間が少なく、常に何かに追われているような気持ちになってしまったり、せっかくできた空き時間も充実させなくては、と変に焦ったりしてしまいがちだが、たまには立ち止まって心を落ち着かせるのも大切だと思う。
 
「力を抜いて、きれいな水の中を流れて、流れて、ついたところがいちいち自分の場所だ。」なぜか涙が出てきた。私もそんな風に生きたい。そうしようと心から思えたからだと思う。自分の理想の生き方をこの本はたくさんの素敵な言葉で形にしてくれている感じだ。そして行くたびにいつもゆったりとした気持ちになれて、身体も心も満たされる、沖縄。ありがとう。
 
(20代女性)

「なんくるない」の読書感想文②

この小説は沖縄が舞台になっている。読んでいるといつのまにか自分自身が沖縄に行っているかのような感覚になり、いつのまにか緊張がほぐれていってしまう。何篇かに分かれているが、沖縄を舞台に家族、夫婦、恋人とそれぞれが葛藤したり人間らしくぶつかったりと引き込まれるストーリーが書かれている。
 
1話目は家族の話なのだが、主人公が小さい頃に家族で沖縄旅行に行ったときのことから、その後家族関係が崩壊して修復するまでが描かれている。家族旅行の場面は仲が良かったときの家族が沖縄の太陽や海の様子から描かれていて、今にも沖縄の海の音が聞こえてきそうな感じがしてくる。
 
沖縄は楽しいことも多いけれど、たくさんの悲しみや苦しみも抱えたところなんだなと考えさせられるような話である。2話目は夫婦の話になっていて、沖縄に住んでいるのびのびとした夫婦が描かれている。沖縄の人はなんたかエネルギーに溢れているような、子供っぽさも持ち合わせているような、そんな夫婦の人柄に心がほっこりするような話である。
 
3話目が本編なのだが、離婚して心に傷を負った女性が主人公になっている。主人公は周りにペースを合わせることが苦手で自分の世界を持っている人で、日本の社会では生きづらい人柄として描かれている。私自身もそうなのでとても共感して読み入ってしまったのだが、自分のペースで生きていると日本ではなぜかうっとおしく思われる。
 
そんな主人公が夫婦生活でも自分のペースを否定され、日々の生活でも否定され、心が疲れきったときに沖縄に旅行に出かける。沖縄に着いて、カンカン照りの太陽とおおらかな人たちがいて徐々に癒されていく主人公を想像して自分自身も癒された。この話を読んでいるとまた自身が今沖縄にいるような気分になっている。
 
なんとなく沖縄で過ごしているとある飲食店で男性と出会い、そこから恋愛の感情を取り戻して元気になっていく。この本を読んでいると沖縄は心に元気を与えてくれる場所なんだろうなということが伝わってきます。また、日々仕事に追われる日々を送っていると忘れかけていた幼い頃の感情や、自然を良いと思える感性が蘇ってくる。
 
(20代女性)

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