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読書感想文「サーカスナイト(よしもとばなな)」

「サーカスナイト」の読書感想文

物語は、みちるという娘を持つ女性さやかの話である。さやかは、旦那を亡くし、その後二世帯住宅で義母と義父、そして娘と暮らしている。お互いに、義理の関係でありつつも自立していて自由ながらも、どこかで想いやっている関係である。私は結婚もしていなくて義理の関係が分らないけれども、いわゆる義理の親子のねっとりとしためんどくさい関係を想像しているだけに、こういった関係だと結婚もいいのかもしれないと感じた。
 
ある日、さやかの家に昔の恋人から手紙が届いた。しかしそれは偶然で、さやかが住んでいる家に昔その恋人が住んでいて、あることを頼むためにさやかが住んでいるとは知らずに手紙を出したのである。さやかとその恋人には悲しい出来事が過去に起こり、実はその時に、さやかは指が不自由になったのである。 
 
私とさやかは、経験していることも共通することもほとんどなく、さやかのこの過去の出来事というのが現実には起こりづらいことかもしれないが、とてもシビアな内容の出来事である。それでも、さやかが昔の恋人と会うことで過去のことを悲しいだけのものとはせずに良い方向に進めていく過程で、私自身も癒されるのである。
 
そして、そんな中にもみちるが登場することで明るさや軽やかさもあって心が気持ちよくなる。あたかも私の気持ちを理解してくれているようで、『どんな私で居てもいいんだよ』と語りかけてくれているような気持ちになるのかもしれない。自分でもどうしてこの物語を読んで癒されるのかは上手く説明が出来ないが、丁寧に人の想いや祈りみたいなものが伝わってくるのだ。
 
(20代女性)

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