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読書感想文「流転の海 第9部 野の春(宮本輝)」

「流転の海 第9部 野の春」の読書感想文

「流転の海」私が、この本に初めて出合ったのは、もう30年以上前の事です。当時は、通勤電車の中で本を読むのが普通の時代で、私も片道30分の電車の中で読書をしていました。と言っても、その頃の私は、全くの読書初心者で、正直何を読んでいいのか分からなくて、いつも書店で悩んでいました。

そんな時、出会ったのが「流転の海」でした。当時、流転の海が映画になったころで、本の帯に森繁久彌が扮する、松坂熊吾の写真が載っていたのですが、その熊吾と「目が合った。」ような気がして、作者の宮本輝さんの事も良く知らないのに、いわゆるジャケ買いで買ってしまった一冊です。

あれから30数年、第9部の「野の春」を読み終えて、感動と喪失感の二つの感情が私の中にあります。第9部の「野の春」は主人公の熊吾が亡くなるまでの事が描かれているのですが、若いころあんなにも豪快だった男が、こんな風に亡くなるなんて、人の人生とは一体何のか、と思わずにいられませんでした。

第1部から第9部まで、一冊読み終える度、早く次を読みたい、次はいつ出るのだろう、この30年近くいつもそう思っていました。「野の春」の最後のページを読むことが嬉しくもあり、寂しくもあり、こんな感情で読んだ本はおそらくこれが初めてで、最後なのではないかと思います。

主人公の松坂熊吾という男の人生に、何故、こんなにも引き込まれるのか自分でも不思議だったのですが、「流転の海」を初めて手に取った20代の頃から、50代になった今の自分を振り返ると、その答えが少し分かるような気がします。50代になった今、もう一度、第1部から読み直しをしたいと思っています。

30代に一度、読み直しをしているのですが、その頃はまだ、途中までだったので、全て揃った今、一気に読みたいと思います。そして、こんどは、熊吾だけではなく、妻の房江の気持ちや、息子の伸仁の気持ち、そして、たくさんの登場人物のそれぞれの気持ちも50代の今だからこそ分かる事が、たくさんあるような気がするからです。

(50代女性)

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