読書感想文「そして、バトンは渡された(瀬尾まいこ)」

この本を読み終えて強く感じたことは、家族とは、親子とは、血縁とは、はもちろんだがとにかく登場人物の素敵な大人たちだ。年齢を重ねているだけではなく、子供へ明るく深く愛情を注げるステキな大人たち。子供と一緒の時間を楽しむ、大好きなものを作って一緒に食べる、子供がやりたいことを応援していく。

 

そこには、子供への遠慮もなく愛情を爆発させている大人。大人なのにクスッと笑ってしまう大人、そしてその子の存在がとてもいとおしいと伝える。決して特別なことではないことだがそれをサラッとできるステキな大人達だ。世の中のおとながこの登場人物のような大人達であったら、世の中に不幸な子供達が少なくなるだろう。

 

 

 

このステキな大人達もそれぞれに事情を抱えているが、自分を信じ子供を信じ、自分の周りの人達を信じ愛情を注ぎ、愛情のバトンをつないでいく。複雑な家庭環境にそだった少女の成長物語だが、現代の大人達へのメッセージでもあるとも感じた。大人たちが子供達に愛情をそそぐ。当たり前のことがあたりまえでない状況を見、聞きする昨今。

 

産まれたときの子供達は無垢である。環境で子供たちはそれぞれの個性を持つ。その環境を作り上げるのは周りの大人達、大人の役割を今一度考えさせられる。現実的には子供と一緒に食事をとれない、過ごす時間も少ない、経済的にも余裕がない様々な状況はあるだろうが、子供達に大好きな大切な存在だと伝えてあげることはできる。

 

むしろそこが一番大切であると感じた。きっとみんな分かっている、わかっているのに出来ない状況が問題。改めて言われることでもないと思っていること。そんなことがこの本の中に詰まっている。面白おかしくいろんな壁をみんなで乗り越えていく、一人の子をみんなで育てていく、深い愛情をもってそして育てられた子もすてきな大人になっていく。

 

そうしてぐるぐるとつながっていく子育はステキであるし、子育てはありがたいことだと感じられた作品である。

 

(50代女性)

 

 

 

 

【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡された
瀬尾まいこ
文藝春秋
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