「君が夏を走らせる」の読書感想文
私は、以前から瀬尾まいこさんの作品を読んでいて、なんて暖かい文章を書く人なのだろうと思い、自分の好きな作家のひとりとしていました。
以前は、奇をてらったような作家さんやミステリーなどを好んで読んでいましたが、子どもを産んでからと言うもの、ひどく残虐なシーンがある物や最後がハッピーエンドではないものを読むと、自分自身が取り込まれてしまうため暗い気持ちになる事が多かった。
瀬尾さんの本はどの作品でも、最後には生きるっていいな、頑張っているといい事があるんじゃないかと思わせてくれる作品ばかりです。
今回「君が夏を走らせる」を読み、以前読んだ本に出てきた登場人物が主人公だったので、彼の成長を感じる事ができたのと、瀬尾さんのエッセーの中でご自身がお子さんを産んだことをつづっていたのでその事を今回の本にいかされているのだなぁと納得しながら本を読みすすめました。
今回の主人公の太田君は以前のお話の中ではまだ中学生で不良と呼ばれながらも弱小の駅伝チームに無理やり入れられて、仕方なく参加するも持ち前の負けず嫌いが功を奏し、区間2位にまで上り詰めたなかなか骨のある男の子でした。
彼が高校生になってから、先輩の頼みで1歳10か月の女の子の鈴夏ちゃんを1か月も預かる事になったのですが、読みすすめると彼が幼い頃にきっと母親にしてもらっていたような事を、そしてして欲しかったことを鈴夏にしてあげようと努力したり、考えたり、その中での幼い子の成長を喜ぶ親のような気持ちなど、まさに子育てをしている自分に重ね合わせて読んでしまいました。
鈴夏ちゃんの行動や言葉など、自分のこどもと同じような所があったり、太田君に感情移入したりと、自分の気持ちがあっちこっちに移動している感覚を久しぶりに味わえたような気がします。預かる最後の日に太田君は、自分が好きな走る事、自分の人生についてもう一度考え直す事ができ、明日への希望を感じる事が出来た事でうまれた、読書後の爽快感がたまりませんでした。また、こういう作品を読んで胸の中を熱くしたいと思います。
(30代女性)
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