「億男」の読書感想文
2018年秋に映画化が決定したという帯とタイトルに惹かれて読了。宝くじで3億が当たった主人公が、大富豪になった学生時代の友人に使い道を相談する。この時点でなぜ高額当選を友人に話してしまうのか、という思いがわきあがりました。
当然のように友人と3億は一緒に消えてしまうのだが、高額当選は誰にも話してはいけないというのがセオリーのはずだ。しかし主人公は自分の借金を返すより前に友人に相談した。しかも15年ぶりに会う友人に。
本文にもそのことを後悔する主人公の心情が書かれているが全くもって自業自得である。ただ、そこから主人公の3億円を探す旅が始まり、友人にからんだいろいろな人物に会うことになる。その際のテーマともとれるのが「お金からの解放」である。
出会う人物たちは皆お金に対する様々な思いを持っており、大金を手にした際の対応が違っている。この点については非常に考えさせられた。我々は仕事をしてお給料をもらって、たまに「ああ~宝くじが当たらないかな~」などと考えてみたりする。
ただ、大金を手にしていなくても家族がおり、友人がいる今のこの生活は幸せなのではないかと感じた。大金を手にしたとしてもお金に支配されてしまっては元も子もないのだ。本書の登場人物はお金を手にしてお金からは解放されたかに見えるが、実際にはお金に縛られてしまっているのだ。
そのせいで大金を本当に持っているだけの人物や、散財して無くしてしまおうとする人物が現れる。もし自分が今大金を手にしたらどうするか・・・うまく使いこなすことができるのかを考えさせられる本であった。
主人公は最終的に家族の再生に向かおうとする姿が記されている。やはり人間に必要なのは人とのつながり、やりがいなどではないのかと自問したくなってくる。そう思うと今手元に大金が無くてもいいのだ。もし3億円が当たったら・・・自分のお金に対する考え方を見直す機会になる本になると感じた。
(30代女性)
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