「図書館の神様」の読書感想文①
誰よりも真面目で一生懸命にバレーに打ち込んでいた主人公のキヨが自分の言葉で部活の仲間を自殺に追い込んでしまうという出来事によって変わってしまいながらも、大人になって人との関わりあいや人の優しさに触れて成長していく姿に、私の中で暖かい気持ちが生まれた。
人それぞれ幼い頃や学生時代に嫌な思い出や忘れたくても忘れられないような思い出があるだろう。主人公はそんな忘れたくても忘れられない記憶を抱えながらも一歩踏み出して進んでいくことの大切さを教えてくれた。バレー部の顧問になれるかもという軽い気持ちで教師になったのはいいが任されたのは文芸部。しかも生徒は垣内という男子生徒ただ一人。
主人公にとって大きな成長の一つになる垣内君とのテンポの良い掛け合いや時にシリアスな会話は私の感情を様々な方向へ運んだものだ。この本の中には特別に派手な事件が起きるわけではない。しかし淡々とした日常の会話の中に相手への思いやりの言葉やきつい言葉など、言葉で相手に伝えることの大切さがたくさん詰まっている。
また感情の表現が多いので主人公のキヨの気持ちが強く伝わってとても共感できた。何よりも驚いたのはキヨが愛人をしていたことだ。不倫相手の浅見さんは結婚しているがそれでも付き合い続けるキヨ。浅見さんの気持ちとキヨの気持ちがうまく噛み合わない姿やキヨの一方的になっていく愛が私をなんもいえない気持ちにさせた。
落ち込んでいるキヨを気にしていろいろと理由をつけて家に遊びに来る弟。彼の発言には思わず吹き出してしまうことが多かった。何も考えていないように見える弟が姉のキヨを気遣い、大切なことを伝える姿はこの本の中の登場人物で一番好感が持てた。
一人だと思っているキヨを支える人一倍優しい弟、どうでもいいと思っていた生徒達の本音、そして文芸部での垣内君との会話によって過去を抱えながらも徐々に前向きになっていくキヨの姿に悩んでも、苦しんでも周りの人とともに進んでいくことの大切さを実感させられた。
(10代女性)
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