読書感想文「オズの魔法使い(ライマン・フランク・ボーム)」

グリム童話やアンデルセン童話などと並ぶほど有名な作品だが、ちゃんと読んだことがある大人はどれ位いるだろう。私自信もいつの間にか「知っている」作品として認識していたが、とある機会に恵まれ、始めて書籍を手に取りこの作品に没頭した。

 

絵本で知っていた概要がちゃんと作品を読むことで色付けされていった。例えば、なぜ主人公ドロシーはオズに故郷に帰りたいと願うことになったのか。また、その道中に出会う脳みそを欲しがるかかし、心を願うブリキのきこり、勇気を乞うライオンとどのようにして出会うかなど、書籍を読むことで始めて知った。

 

子供の頃はただのおとぎ話として無条件に受け入れていた設定もきちんと読むことで大人になってからでも不思議と納得でき楽しめたのだ。私が一番印象に残った納得のひとつは「ブリキのかかし」だ。彼はもとからブリキではなかったのだ。

 

今までは最初から「ブリキのかかし」という生き物だと思っていた。作中には不思議な生き物が多数出てくるので、彼もまたその一員だと思っていたのだ。しかし、どうだろう。彼はもとは人間で魔女からかけられた呪いで足を誤って斧で切り落としてしまったので、ブリキ屋に頼んで足を着けてもらったのだ。

 

 

 

魔女の呪いは続き、次はもう片方の足、腕、首、最後には胴体すら切り落とすはめになりその度にブリキ屋に助けてもらい遂には「ブリキのかかし」になってしまったのだ。これはちゃんと書籍を読んだ人しか知らないのではないだろうか。

 

藁のかかし、ブリキのきこり、臆病なライオンはそれぞれ知恵と心と勇気を持っていないからオズの大魔法使いにそれをもらいに行くのだが、彼らはそれらを始めからちゃんと持っているというストーリーなのは知っていた。だが、それがどんな知恵でどんな優しい心で、どういった勇気なのか知らなかった。

 

他にも書籍を読んで始めて知る設定がたくさんあり、読み進めては「そういう事だったのか」と納得してばかりだった。また同時に大人になった今だからこそできる読み方がある。それは「ツッコミ」である。そのままであるが作品を読みながら「ツッコミ」を入れながら読むのだ。

 

旅の途中の困難を聡明に解決するかかしの知恵は度々に登場する。その都度、私は「そんな考え思い付けるなら大丈夫じゃないか」「それが知恵ってものだよ」と一人作品中にツッコミを入れてしまった。

 

他にもカブトムシを誤って踏んでしまったきこりが悲しみと後悔のあまり泣き止めずにいること、ピンチの時に「ここは私が食い止める!」と勇ましく立ち向かうライオンなど、ストーリー中に彼らの知恵と優しさ、勇気が溢れているのだ。その度に私はツッコミを入れる。そして同時に思う。知恵とはこう言うときに役立つのだな、優しさとはこうものなのだな、勇気とはこういった時に起こるものなのだな、と。

 

彼らの活躍は最初から最後まで散りばめられている。子供の頃はきっと読み終わった後に気づくことなのかもしれないが、大人は読みながら浸れる楽しみがある。これを私は「ツッコミ」と称したのだが大人だからこそできる楽しみ方のひとつだと思う。

 

そして、最後に主人公ドロシーだか、彼女は最初から最後まで「普通の女の子」だった。竜巻に飛ばされた家がたまたま東の悪い魔女を潰し、たまたま魔法の銀の靴を手に入れる。その使い方など知らず、気に入ったからという理由で靴を履いて旅に出る。

 

道中、かかしや木こりを助けるがそれもたまたま。道中の危険を仲間ちが対処してくれる。彼女は普通の女の子だ。そんな普通の女の子が活躍するのは後半だ。願いを叶えてもらうために西の悪い魔女を退治しに行くのだが、仲間たちは西の魔女にやられてしまう。

 

ドロシーは何もできずに魔女の奴隷にされてしまう。悲しみ働くドロシーだが、魔女に銀の靴を取られそうになり怒って水を魔女にかけ、それが魔女を退治することにつながる。お気に入りの靴を取られそうになって水をかける。そんな普通の女の子と変わらない態度が可愛くておかしくて彼女を大切なする仲間たちの気持ちがここで始めて解った。

 

ひょっとしたらこの世の中で一番強いのは本当にただの「普通の女の子」なのかもしれないなとも思った。実際、女の子は強いなと思う。今回、オズの魔法使いを読んだきっかけも実はただの普通の女の子の一言だった。

 

私は姉の子供、七歳になる女の子なのだが彼女に「オズの魔法使いってどんなお話しなの?」と聞かれたことがきっかけだった。その時の私はただ概要を伝えたのだか彼女の反応が薄くいまいちだったことが悔しかったのだ。

 

彼女に本を買ってやることが早いのかもしれないが、そんな反応の子供がを買ってやったところで読むだろうか。いや、きっと小生意気なこの子は読まないだろうと踏んだ私は自分でおもしろおかしく話してやりたいと思ったのだ。

 

つまらない大人のプライドなのかもしれないが、それで改めて「オズの魔法使い」を読むきっかけになった。そのおかげで私は「オズの魔法使い」の本当のストーリーの知識だけでなく、大人として純粋に童話を楽しむことができた気がする。大人として楽しむ童話、そしてそれを子供に伝えてやれる楽しみの両方が得られた良い機会と作品に出会えたと思う。

 

(30代女性)

 

 

 

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