読書感想文「鬼談百景(小野不由美)」

これは十二国記や屍鬼で有名な小野不由美さんの作品であり、百物語となっている。構成としては短くて1ページとうかたった6行、長くて5ページ程の短編話の集まりである。一気にがっつり読むのでは無く、一話ずつゆっくり読むほうが楽しめるかもしれない。百物語とは江戸時代などに肝試しとして行われた怪談会である。まずロウソクを100本立てておいて、数人が順番に怪談話を語り、1話終わる毎に1本ずつ消していき、100番目の話を終えてロウソクを消すと真っ暗になり、何らかの怪異が現れると言われている。この作品は同時刊行された残穢とリンクしているようである。残穢の中の作家である登場人物が読者からの怪異の体験談をまとめたという体をとっている。実際の所、鬼談百景は99話しか無いので100話目として残穢を読むのが正解のようだ。よく百物語は99話でやめておかないと何かが起きてしまうと聞いたことがあるので、ロウソクはないがそれを狙っていると思われる。私は先に残穢を読んでしまったが、それでも怖さや薄気味悪さを感じた。中には残穢ともしかしたら関連がありそうな話もあるので、読み進む内にどこか今までの怪談話とは違う静かな怖さのようなものが私の中には生じた。

そんなに怖くないのに怖いという文章では表現しづらい感覚を感じる。一話一話は短いので詳細な感想を書くとネタバレになってしまうため避けるが、私は「禁忌」というとても短い話で自分の小学生時代を思い出した。学校の近くには林があったが、その中の一本で昔自殺した人がいてその人の苦しそうな幽霊が見えるという話が学校の七不思議として伝わっていた。皆さんもまた、いつかどこかで聞いたことのあるような話があるかもしれない。怪談話を身近に感じるというところもこの作品が今までとは少し違うとこであると思う。案外怪異とは気づかないだけでいつも直ぐ側にあるのかもしれない。今の時代は夜も明るく、無音ということがあまり無い環境で生きる人が多いと思うが、それでも何となく夜に一人で読むと、ざわりとした感触を感じてしまった。もっと昔の人はこの物語を読むとどう感じるのだろうかと気になってしまう。

 

(30代男性)

 

 

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