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読書感想文「カササギたちの四季(道尾秀介)」

「カササギたちの四季」の読書感想文

この小説は誰も死なないミステリーである。誰も死なないのにミステリーだと?謎はそんなに甘くない、ふざけるんじゃない、と思われるかもしれない。確かにミステリー好きには少し物足りなく感じてしまうかもしれないが、でも、それでも一度は手に取ってもらいたい。道尾秀介の本を読んだことがある人ならわかるだろう。
 
必ずしもあなたは騙されるのだ。道尾秀介の巧みな文章のリードによって。道尾秀介の作品を読んだことがない人でも、ミステリーをよく読むような人、心温まるヒューマンドラマが好きな人にはぜひ読んでもらいたい。主たる登場人物はリサイクルショップを経営する店長かささぎと副店長の日暮。女子中学生の菜美の3人である。 
 
この3人が織り成す春夏秋冬のた4つの短編ストーリーが掲載されている。もちろんそれぞれ独立したストーリーではあるが、それぞれの物語が少しずつリンクしていて、一気に読むと流れがあって非常に面白い。調子がいい変人のひぐらしとそれに振り回される人のいい日暮、それにツッコミをする菜美の三人の会話のテンポがよくて、読んでいる間にふふっと笑いをこぼしてしまうほど。
 
そして叶うなら、この3人の会話に入りたい、さらにさらに叶うなら、友達になってしまいたいと思ってしまうような、非常に魅力溢れる登場人物たちである。もちろん、この主たる登場人物たち以外の脇役(と呼びたくないほど)となる登場人物たちもとてもユーモア溢れる人たちだ。もちろん笑いだけではない。それぞれの登場人物たちが抱えている悩み、そしてそれに寄り添うような形で謎が解決していった時、読む人の心にほっとするような温かさを残してくれる。
 
ああ、人間ってこんなに温かく、素晴らしいものなんだな、と思わせてくれるのだ。そして、自分の周りにいる、愛しい人をもっと大事にしなければいけないと、そっと優しく教えてくれる。読んだあとに、また明日から頑張ろうと思わせてくれるようなそんな小説である。
 
(20代女性)

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