読書感想文「黄金の島(真保裕一)」

久しぶりに物凄く考えさせられた本でした。エンターテインメント性があり一気に読ませ、そういう意味でも大変面白かったのですが、単に面白いとは言えない内容で、暴力団内のトラブルで国外追放された元暴力団員が、タイからベトナムへと命を狙わて亡命。

 

そのベトナムで日本に行く事を夢みる貧しいベトナム人の若者たちのグループと出会い、自らが日本に帰る手段とそれ以上に彼らに力を貸そうと、密航船で日本へ帰る・・・という流れのお話です。彼らを手助けする理由には、これは物語の最後に、死の間際に分かる事ですが、彼は自分の自らの生きてきた価値もそこに見出したいという気持ちがあったのです。

 

 

この物語の中で物凄く身に染みた言葉は沢山ありました。「日本人ほど他のアジア人を見下している国民はいない。」という一文。そして「経済大国に生まれた事の有難みを何も感じていない。ただ、日本に生まれたというだけで、他の貧しいアジアの国の人間を見下す。」というものです。本当にその通りだな・・・と思いました。

 

それに、ボートピープルについても、そういった自殺行為をする人達の事をただ分からないというだけで完全否定していた自分自身を振り返って考えさせられました。物語の中で主人公は遠洋漁業をしていた時に南アメリカの漁港に立ち寄った時、賑わっている漁港からちょっと外れると、道端に死体がたくさん・・・というのを見た経験があり、それよりはまだアジアの国はマシなのではないか?

 

それでも危険を冒して日本に行くのか?と考えますが、その国の、人それぞれの、思いや苦労はとても経済大国から来た旅人には理解不能なんだと悟ります。反対に主人公が思う日本の描写もうなづける部分が沢山あるのです。お金に踊らされている人達がうようよいる国。本当にそれが幸せの象徴なのか?と。

 

ベトナム戦争について詳しくは知らなかった私ですが、そのベトナム戦争でアメリカが敗退した後のベトナムがこんな国になったのか・・・という事も知り、とても興味深いのと同時に、戦争で勝った・負けたというのは一体何なのか?という事も考えさせられました。とても深い作品でした。

 

(40代女性)

 

 

 

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