「笑うハーレキン」の読書感想文
人間の弱み、そして目標、はたまた夢を持ち続けられる人間の強さを再確認した一冊となった。
ハーレキンとは道化師のことだ。この作品を読んだとき、人は誰しも仮面を被って生きているのだな。と改めて確認した。被ってない人のほうが目立っている。日本人は特に「本音と建て前」の国で育ってきた。それは、場所に問わず職場での仮面、家庭での仮面である。
例えば、職場だと上司にへこへこと頭を下げてはいるが、家庭だと亭主関白で威張っている人。または、自分にとって過去の消えない痛みから仮面を被ってしまっている人もあるだろう。そんな私も例外なくその一人だった。過去に、と言っても言うまで生きてはないが、家族にも「壮絶な人生だったね。」と言われたことがあるくらいだ。
そのいくつもある、そしてこれから先も起こり得るであろう人生の岐路に「私は正しい。正しいことをしている。」と叫んだところで、誰が認めてくれるのであろうか。人はなにもかも正しく生きていくことは不可能だ。相当な自信家の人であっても、誰一人からも恨まれず人生を終えることなんてできない。
人は脆くて儚い。だからそのために夢を持ち、目標を持つ。私も何度も職を失った。忍耐力がない、人間関係のつくり方が下手くそだ。しかし、目標を持ち続けなければならない。怖いから。必死で身体を動かしてないとその恐怖から逃れられないからだ。
この一冊は主人公がホームレスになり、収入を得るために家具屋を始める。そこで営業を多くの人に知ってもらうためにホームレスの仲間にもビラ配りを手伝ってもらうのだが・・その少し前に足を引きずった女の子が現れる。
彼女は今まで親に守られてきたから、自らの力で生きていきたい。と、主人公に語る。主人公のホームレスの愛車のトラックの助手席には、謎の仮面を被った変なやつが現れるようになる。その変なやつこそ自分自身の仮面であった。
そんなある日。大きな仕事が舞い込んだ。でもその仕事先はヤクザの親分の箪笥の修理であった。そこにはホームレスの仲間と、あの彼女も来てしまい・・作業を進めるうちに帰ることが難しくなっていく。
仮面の自分自身は事あるごとに忠告をしてくる。その度に不敵な笑みを浮かべたり、恐ろしい表情になったりする。最後の最後に仮面の自分の姿が消えたとき、人はなにを思うのだろうか。私は、こう思うことにした。「ああ、また人生の新たな目標が見つかった。」
(20代女性)
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