読書感想文「ワンダー Wonder(R・J・パラシオ)」

ワンダーを読んだ。小学5年生の息子のために図書の推薦本ということで申し込みをしたら当選したため手元に来た、というのがはじまりだった。推薦本ということだったけれど、フィクションなのかノンフィクションなのか、何がテーマなのか、一切の事前情報無しの状態だった。
 
明るい水色の表紙には男の子の顔が描かれていて、その顔はなんだかこう意味ありげな感じだ。目が1つ、鼻と口は無い。この子が主役?そして後で意見交換できるように、息子より先に自分が読み始めた。推薦本という本をしばらく読んでいなかったし、その装丁がとっても意味ありげで気になったからだ。
 
オーガスト、10歳。息子と年が近い。アイスクリームを食べるのが好き、自転車に乗るのが好き、ボール蹴りやXBoxでゲームをするのも大好き、、、と本人の言葉で始まる。これ、全く息子と一緒だ、と親近感を感じた直後だ。オーガストを見た子供たちが離れていく?公園で彼を見た途端、叫ぶ?
 
最初の10行足らずを読んだだけなのに、こんなオカルトみたいな感じなのか?これはホラー小説なのか?それともこのオーガストが不思議な力を持っていて色々な出来事が起こるアドベンチャーなのか?あくまでもオーガストの言葉として書かれている。

 
 
読み進むといや、息子とは違う部分もある、とっても大きい違いがある。彼は学校に行ったことが無いのだ。これは遺伝子疾患で顔にひどい障害を持って産まれてきた男の子の話し。それまでたくさんの手術を受けてきて、10歳になって人生始めて学校に行く。
 
それまでは自宅外で何回となくその場に居合わせた人達からいろんな、本人が落ち込むような反応をされてきたオーガストにとってもちろん、すんなり学校に行きたい、今までと違う自分になって友達たくさん作るんだ、なんてポジティブに行くはずはない。学校に行かせたい親ともぶつかる。ところでこの親が素晴らしい。
 
オーガストのことを居心地の良い家や家族、オーガストのことを好きな友達の中だけで過ごさせてきたところから、全く知らない人ばかりの環境に送りこもうとする。家で自分達がオーガストにできることは限られている、彼の人生を考えたら手術等が落ち着いた今、彼の違う人生を応援しようとしているのだ。
 
これはすごい勇気、もちろん、オーガストのことを本当に愛していて信用しているからだ。素敵な先生と出逢い、いよいよ彼の学校生活が始まる。学校生活、世間には色々な形の学校があるけれど、基本は小学生にとって学校に通うことは普通であって、言ってみれば義務となっていたり、起きている時間の大半を学校で過ごすわけだから、それは本当に影響の大きい場所になり得る。
 
さて、オーガストはどう自分と向き合って、そして周りと向き合うのか。それは、オーガスト自身の嬉しい、楽しい、悲しい、怒り、全ての人が持つ色々な感情が彼自身の言葉でたくさん表現されている。いくつもの事件を通して、オーガストは自分の居場所を作っていく。周りの友達も色々。
 
障害があるというだけでいじめる子もいれば、そんなのどうってことない、オーガストの面白い性格を見極める友達にも出逢う。それは避けられない状況とは思うけれど、やっぱり一番大切なのは本人がどう捉えるか。オーガストは葛藤しながらも周りと良い関係をきづきあげていく。
 
どうやってそういう事が彼にできたのか。家族や親友の存在も大きいが、私は彼の物事の捉え方が素晴らしいと思う。彼のこの10年間の経験から、それを常にネガティブに捉えて自分はどうせ何やってもなんて思ってきていたらこうはいかない。物語はハッピーに終わる。
 
ただ、この物語はハッピーエンドで良かった、という感想にとどまらない作品。障害がある子の成功物語というにも程遠い。1ページ1ページに彼の気持ち、周りの気持ちがたくさんで吸い込まれて読んでいった。
 
息子がワンダーを読んだ後の感想、こういう人がいても怖がらないでおしゃべりしたほうがいいね、は何かこう自分にも言いたい言葉だった。世の中にはそれはもう色んな人がいて、大事なのはその人がどういう人なのかって見る事が大事なんだと改めて考える。
 
(50代女性)
 
 
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