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読書感想文「秘密の花園(フランシス・ホジソン・バーネット)」

私は子供が主人公の本を読むのが好きだ。昔から興味があったのはお金持ちのお嬢様が主人公の話だが、その中でも特に風変りな作品がある。それはフランシス・ホジソン・バーネットの「秘密の花園」だ。私が抱いていたお金持ちのお嬢様は幼い時から身の回りの世話を女中にしてもらい、食事の時は豪華な料理を堪能出来る。
 
身に着ける洋服も上等な物が多いので、木に登ったりどこかに探検に行くのはもっての外だが、家の中で本を読んだりバイオリンやピアノをたしなんだりする事は日常の一部となっている。彼女たちは全員白い肌に青い目のフランス人形のような女の子で、物心ついた時には「美人」と言われる事が挨拶代わりとなっている程可愛らしい容姿の持ち主である。
 
間違ってもスーパーで買ったスウェットやジャージなどは穿かないし、それが似合わないのだ。この小説の主人公メアリー・レノックスは私が考えていたお金持ちのお嬢様とは違っていた。最初の方で両親が亡くなってしまうという不幸に見舞われるのだ。生前の父や母は彼女をほったらかしにしていたので、使用人達に面倒を見てもらっていた。
 
彼女は生粋のイギリス人だが、植民地であるインドで暮らしていたためイギリスの人達からは風変りに見える。性格は頑固で疑い深く、わがままだ。メアリーは両親なき後父方の伯父のクレイブンに引き取られ、荒れ野にある屋敷で暮らす事になったが、そこの使用人達の様子から屋敷の秘密がある事を察知して、1人で探すようになるのだ。
 
この小説ではメアリーが花園を見つけるまでの過程が描かれているが、荒れ野の片隅にある花園で花の芽が顔を出すように、メアリーの心の中にも様々な花が咲く花園が形成されていく。インドで両親にほったらかしにされていた少女が自分で身の回りの事をするようになり、亡き伯母が愛した花園の手入れをするうちに愛情豊かな性格になり、自分自身も周囲の人々に愛される存在になる。
 
秘密には悪いものと良いものがあるが、「秘密の花園」に関しては明らかに後者である。伯母が残した花園が不幸な人々が見いだせなかった幸福に気づかせてくれたとすれば、とても良い秘密だった事は間違いない。読む人に春をもたらす本である。
 
(40代女性)


 
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インドで育った少女が蔓延した病気から逃れるためにイギリスへやってきた。インドでは服を着るのも、靴を履くのも、全て召使いがしてくれていた。だがイギリスの召使いは一味違う、できることを自分でやるのは当たり前である。様々なカルチャーショックを受けながら、ある少年と出会い、少女の価値観や人生は大きく変わっていくのである。
 
まず感じたのは、少女の成長である。言葉が悪いかもしれないが、インドで過ごしていた時はわがままし放題でさぞかし意地の悪い表情だったであろう、しかしイギリスに来て、少年と出会い、雄大な自然に触れる中で少女の持つ本来の自分が徐々に出てくるのを強く感じる事ができる。この少女は現代の子どもたちにも当てはまるのではないかと思いながら読んでいた。
 
スマートフォンやゲームなど様々な情報が充実し、便利で快適な生活を送れている今の子どもたち。公園にある遊具やグラウンドで遊ぶかと思いきや、ベンチに座り皆で輪になりゲームに没頭する。このような状況を誰が予想しただろうか。友達と野球をしたり、鬼ごっこをしたり、とにかく走り回るだけで楽しかった自分の時代と今の子どもたちと、小説に出てくる少女の姿を重ね合わせて読み進めた。
 
少女はと言うと、自然や動物達と触れ合うことで、笑顔が素敵な活発な成長を遂げる。風や土の匂いを感じながら、泥まみれになり農作業に没頭する日々。そこで、小鳥と話をする不思議な一人の老人と出会うことになる。この老人も少女が今ママで接したことにないような大人だった。
 
少年や老人などとの新たな出会い、今まで触れたことない自然や動物達との時間、少女の価値観や感性を揺さぶるには十分すぎる材料である。少女の「成長」というよりか「本来の姿」を言ったほうが正しいのかもしれない。まだ10歳にも満たない子どもの吸収力はきっと私が想像しているより素晴らしいだろう。
 
この少女のような機会を日本の子どもたちに少しでも多く与えることができれば、日本が抱える教育問題は解決に向かうのではなかろうかという気持ちになった。
 
(20代男性)
 
 
 
 

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