読書感想文「花々(原田マハ)」

私がこの本と出会ったのは、この美しい花々の綺麗な表紙に惹かれて手にした時だった。そして読み終えたときに真っ先に思ったことは、自分の直感は間違っていなかっただった。何故ならば、家を捨てて旅に出た主人公の純子のように、こんな旅先での心がほっこりするような素敵な出逢いが待っているなら、私も旅に出たいと思ってしまったからだ。

 

最初は、どこにでもありそうな離島の話でありきたりな感じがした。だが、主人公の純子が、ショップのオーナーやバイト仲間、島民出身の成子達と出逢い、人とのつながりの大切さや温かさを痛感した。しかも、それぞれの暮らしの中に自然と寄り添うように語られる花々の話しに、感動して泣いてしまった。

 

 

特に『千と一枚のハンカチ』の段では、コンロンカ(ハンカチの花)を栽培している木綿一(ゆういち)が一面に咲く花を知花子に見せるシーンが印象に残った。それは、涙を我慢する知花子に言った言葉で、【泣いたらええです。ハンカチは、ほれ、いっぱい、千と一枚もありますから。】がむしゃらに頑張っている成子に対して、口下手だけど優しい雰囲気も感じられた木綿一が素朴なのにとても素敵に見えた。

 

しかも、みんな優しいからなのか、島旅人のルールなのか必要以上に相手のことを詮索せず言い出すの待っていてくれる。こんな心地よい距離感が保てる間柄に私は憧れを感じた。人それぞれ悩みや痛みを抱えて暮らしているのに、”人の不幸は蜜の味”とばかりにワザと聞こえるように嫌味を言う輩に辟易していた私には、純子が羨ましく思えた。これも人柄のなせる技なのか、それとも類は友を呼ぶということなのか、人間は千差万別だからおもしろいのかもしれない。

 

この物語を通して、自分の生き方を考えさせられた。とにかく目の前にあることをこなすことで精一杯な私。それでも、やりたいことやこうしたいと思うことはあっても人のせいにして我慢して気持ちを押し殺してきた気がする。なんとか折り合いをつけて我慢して今の生活をしている。そんな私に肩の力を抜いて、もう少し自由に生きてもいいのかなとも思わせてくれた作品だった。

 

(40代女性)

 

 

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