余計なお世話と言ってしまえばその通りかもしれない。自分が正しいこうしたい、と思っていることを他人に、はたまた素性の分からない得体の知れない者に横やりをいれられることは、大多数のひとは嫌がるだろう。
ましてやこの物語では、それが自称神様ときているうえに人ではないのだ。細かくいえば人にもなるが。この本にでてくるそのお節介気味な彼らは、距離もはからずにただズケズケ言い詰めてくる敬遠されがちなお節介とはちがう。
特別なにかをするわけでもなくただその時に必要なひとことを主人公たちに投げ掛ける、そんなやさしい文体に私は惹かれた。表紙は水彩っぽさがあるイラストで、とてもやわらかそうな雰囲気がでている。
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もちろん表紙と中身が微妙に食い違うものもあるので、軽く読むとテンポのいい流れの中でところどころ存在を強く主張する濃いキャラクターがいるのだ。そのキャラクターは表紙にも描かれているのだが、どうもいい意味で思っていたのと違った。
読み進めるうちに帯にあった文句に合点がいった。奇跡も神通力もなくただそばにいてくれるだけの神様。最初のうちはやけにキャラクター性が強く、主張しすぎな気もしたが、なるほど読み進めるうちに全く気にならなくなった。
絶妙に濃い神様と日々を普通に過ごすひととのアンバランスさがとてもきれいに、それぞれがでしゃばりすぎずに物語を進めてくれた。まわりに溶け込まずして物語へ溶け込む神様は、時折、はっとするほどではなくともほしい言葉をくれる。
友だちではないけれども、親や兄弟でもなく、それでも立ち入ったことも気軽に話せて、何か、何でもいいひとことをかけてほしいと思えるようなひと。そういった存在が身近にいるひとは、どれだけいるだろう。
少々言い方が回りくどくなってしまったが、きっとそういう存在が大事なことは誰に聞かずとも分かっているひとが多いことだろう。この本はそれを複数の登場人物と関わらせることで指し示してくれている。
励ます言葉がたくさんのる本とも、涙が流れてしまうような感動的な本とも違う、ごく普通のよくある日常にその大切な存在がちょっとした不思議として描かれているのがこの『おかえりの神様』という本だ。
そして、仕事先や友人関係でほんのちょっぴりささくれだっていた私のこころに、深呼吸する余裕をくれたのも、この『おかえりの神様』という本だ。
(20代女性)
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