読書感想文「闇の守り人(上橋菜穂子)」

「闇の守り人」は、私が小学生の頃に母と友達に勧められて出会ったシリーズの本で、今でも心に残っている大好きな本だ。前作の「精霊の守り人」は、主人公たちが冒険をする旅の物語。私はその話も好きだが、私は主人公であるバルサの幼い頃から今まで溜め込んできた思いや心の内を感じられるこの本はより心に残る話だった。

 

児童書ではあるのだけれど、内容は軽いものではなく、本当に深い物語だと思う。ただ、よかったなで終われるような話ではなく、心をえぐられるような描写があったりもするが、えぐられながらもあえてそこに飛び込んで行くバルサは、本当に強く、格好がよく、美しいなと感じる。私はもともとファンタジー系の話が大好きだったのだが、この本は好きな話の中でも、本当に心に残っている。

 

それは、この本に出てくるものたちの様々な動きが、本当にこの世にあるもののように感じられるからだ。世界観もこの本の中だけのものではないような、現実にはないのがわかっているのに、どこか現実味がある。だからこそ、普段感じている周りの環境を苦手に感じていた私は、本の中で鮮明に書かれている現実味のある物語に惹かれたのかもしれない。

 

所詮は本の中の話。現実には色んな考え、受け取り方を持った人が、たくさんいる。しかし、こういう受け取り方もあるんだと、教えてくれた気がした。事細かに描写されている、主人公の心情、状況が、それを伝え、学ばせてくれた。現実の人たちの中に入って行くことを怖がっていた私にとって、色んな人のことを、人を含めた、色んなものと関わることを、改めて教え、背中を押してくれた、大切な思い出の本だ。

 

これからも、迷った時や困った時は、何度でもこの本を読み返して、一度立ち止まって、考え直してみよう。そんなことを思わせてくれた。本当に大人まで、いつまでも大切に残しておきたい。そして、いつまでも心に残り、刻まれ続ける物語だと感じた。

 

(20代女性)


 

 

 

 

NHKで精霊の守り人がドラマ化されたのがきっかけで読み始めた闇の守り人。守り人シリーズを全部読み終えたが、深く印象に残ったのがこの作品だった。主人公バルサは短槍の達人で、精神的にも強い大人の女性。30歳を越えた女性が主人公のファンタジーはなかなか珍しい上、緻密に作りこまれた不思議な世界観に目を引かれる。

 

大きく心を動かされたのは、カンバル王家の陰謀に巻き込まれたバルサの父の頼みを聞きいれ、親友のジグロがバルサを連れて逃げたことだ。バルサの父が幼い娘の身を案じて逃げてくれと頼んだのだが、その頼みを聞けばジグロは国一番の槍使いの地位も家族も失い、故郷に二度と足を踏み入れられなくなってしまう。

 

ジグロは重大な結果を招くその頼みを一度断ったが、最終的には覚悟を決めて親友のために動いた。その決断に目頭が熱くなった。二人の逃亡生活の苦しさにも触れられていて胸が痛んだ。バルサとジグロに放たれた刺客はカンバルの優秀な槍使い達で、あろうことか皆ジグロの大切な仲間だった。仲間の命を奪うことになったジグロを思うとやりきれない気持ちになる。

 

そんなジグロがカンバルでは長い間あろうことか罪人扱いにされていたことが悔しくてたまらない。バルサは20年以上離れていた故郷のカンバルに帰って叔母と再会できたが、その後何度も命の危機に直面しその度にハラハラさせられた。基本的に強い主人公ではあるが、自分の力だけで何でも乗り切れるわけではない。

 

戦闘シーンは迫力がありピンチの描かれ方も非常に巧みなので、バルサが命の危機を救われる場面では生き延びられて本当に良かったと心底ほっとする。最初にバルサの命を助けてくれたジグロの辿った運命はあまりにも理不尽であり、ひたすら悲しかった。でも読み終わった時には悲壮感だけではなく、すがすがしい気持ちにも包まれたのも確かだ。

 

物語のラスト近くで、バルサとジグロがカンバルの伝統である「槍舞」を通してしっかり向き合うことができたのが大きい。バルサとジグロの絆の尊さや生き様はとても素晴らしかった。

 

(30代女性)

 

 

 

 

 

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