読書感想文「復活(トルストイ)」

主人公青年は、かつての自分の自堕落な行為によって裁判にかけられるヒロインを偶然にも目にすることとなる。彼女を犯罪に巻き込まれるような立場においやったのはかつての自分の愚かな行いが元と知った主人公は、彼女への贖罪と自らの堕落からの脱却のために、彼女の恩赦を促す行為に走る。

 

裁判所をはじめとした各事務所に出入りする主人公ネフリュードフは、貴族の立場でありながらも、弱気立場の人たちの苦労を目にすることとなる。それによって法律や道徳のあり方が果たしてただしいものかと自問するのである。 ヒロインカチューシャを助けるために奔走するネフリュードフの視点から、所詮人が人を裁くという行為がことによっては愚かしく、おこがましい行為と思える作品内容となっていた。

 

 

 

確かに裁判なんてものは当事者しか知りえないことの顛末について、全くの他者があれこれと意見を出し合って検討を行うもの。であれば時には間違った結果が出ても不思議なものではない。ヒロインカチューシャは不当な重き罪を背負うこととなる。作中の裁判官や、他の役人たちの中には惰性のままにやっつけ仕事をしているものがいた。

 

裁きを与えるという神にも匹敵する仕事を、そんな者たちが行い、挙句の果てには判断を誤る。だったら世の正義とは一体どこにあるのか、法律の存在する意味や正当性は何なのか、主人公ネフリュードフは正義の真実に目を向けることとなる。これは読んでいて納得してしまう内容であった。罪や正義に関しては普段から重きとおいて考えることはまずない。

 

私は普段から特別な善行を行うわけでもなく、かといって法律に触れるような悪行だって行うことはしない。だからこそ、この物語が胸に刺さるものとなった。 作中には誰に罪があり、誰が裁きを受けるかなんてことは神様しか知りはしない。人がそんなことをしようにも限界というものがある。そういった内容の言葉がセリフとして登場する。理屈っぽいけれども、確かに納得してしまう深いメッセージのこもった一作であった。

 

(20代男性)

 

 

 

 

復活(上) (岩波文庫)

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