読書感想文「アンナ・カレーニナ(トルストイ)」

タイトルこそ、アンナ・カレーニナといった女性の名前であるが、群像劇のように構成された小説である。アンナだけでなく、誰しもが主人公といった体で書かれており、その都度それぞれの心情がとても繊細に丁寧に書かれているところが一番気に入っている。

 

テーマはひとことでいうと、ロシアの社交界で道ならぬ恋に落ちた男女の破滅の物語といっていいが、恋愛経験が全く豊富ではない私のような人にも、本当に身につまされることが多い小説である。社交界といった私には未知の世界で繰り広げられる激しくロマンチックな不倫の恋に胸をときめかせながら読み進めたが、突然その異世界から現実の生生しさを突き付けられることが実は多々ある。

 

 

 

アンナは確かに不倫の恋に落ちたけれども息子がいる手前、盲目的に恋に突き進むことできないところなどは、読んでいてとてもリアルである。恋をすることのすばらしさを小説で体感し、うっとりしたいと思い手に取った作品であったが、いい意味で裏切られることの多い作品である。

 

恋には終わりが必ずあり、いつまでも冷めることのない恋愛関係などあるわけがないのだということを改めて実感する。また、いくらお互いを知っていてわかりあえているはずの男女、すなわち愛し合っているといわれる男女でも、男と女である以上永遠に分かり合えるということはないのだとしみじみ思うのだ。

 

もう使い古された言い回しだとは思うが、そもそも男と女は別の生き物で理解しあえるはずはないのだ。また、この物語が進むうえで重要な役割を果たすオブロンスキーといった人物には誰もが憧れるのではないだろうか。彼は確かに小さな子供がいても浮気はするし、妻のドリイにとってはひどい人物にうつるが、本当に憎めない人なのである。

 

人当たりがとにかく良くて、敵をつくることはまずないどころか、敵をつくるということすら知らないような人物で、誰からも好かれる。ある種のそういった処世術に学ぶことがなんと多いことか。その場にいるだけで人を明るくさせてしまうような人物ほど人を感動させることはないのではないかと思うのである。

 

(20代女性)

 

 

 

 

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