読書感想文「黒い家(貴志祐介)」

ホラー系の作品として有名だったので最近読んだ。序盤のあらすじとしては、保険会社に勤めている若槻という主人公の元に、菰田重徳という男がやってくる。そして、彼と詳しい話をするために、若槻が菰田家へ訪れると、そこには菰田家の子供の首吊り死体があった。私はこの話を読んですぐに文章全体から伝わってくる理路整然とした印象を感じ取った。
 
また、そんな整った文章で淡々と子供の死体や、それを見ている菰田重徳についての描写などが説明され、不気味さをより一層引き立てていた。死体発見後は、保険会社に保険を払わせるために、菰田重徳が足蹴く通ってくるようになる。そんな彼の無言の脅迫ともとれる行動に、若槻はだんだんと恐怖を抱いていく。
 

 
 
このシーンに関しても、若槻は結果がわかり次第ご連絡いたしますと菰田に伝えているにも関わらず、毎日欠かさず訪問してくるというのが、リアリティのある怖さを感じた。また、こういった描写があったため、この菰田重徳という男に対して読者である私も、恐怖心を抱いていた。
 
しかし、話は進んでいき、本当に恐ろしいのはこの菰田重徳の妻である幸子の方だと判明する。彼女は重徳の事を精神的に支配しており、子供を殺した犯人も彼女であった。幸子は、夫である重徳が職場の工場で事故に遭い、腕を失った際も、心配そうなそぶりは一切見せなかった。
 
それどころか、幻肢痛になってしまい痛がっている重徳を見て、声を出して笑い始める。私はこの作品の中でも、特にこの場面が一番怖かった。本来であれば泣いて悲しんでもおかしくないような状況である。にも関わらず、痛みを感じている人の目の前でそれをあざけ笑うという精神性。
 
お化けや雷などは怖いと良く言われるが、本当に怖いのはこういった人の心を失った人間なのだと知った。結末としては、逆上して襲い掛かって来る幸子を、主人公の若槻が消火器で撲殺して話は終わる。結末も含めて本当におぞましい物語である。
 
(20代男性)
 
 
 
 
 

黒い家 (角川ホラー文庫)
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