「あまねく神竜住まう国」の読書感想文
荻原規子さんの作品はとても好きで、昔から何度と読んでいます。特に好きな作品は勾玉シリーズと呼ばれる三部作です。日本がまだ神と人間の境があまりなかったころの話です。日本が舞台の古代ファンタジーはあまり見かけないので、ファンタジーが好きだという人には一度読んでもらいたい作品です。
今回読んだ「あまねく神龍住まう国」は勾玉シリーズのその後発売された「風神秘抄」という作品の続編のような形の物語です。登場人物はほとんど一緒なので、事前に「風神秘抄」も読んでおくことをお勧めします。ただ、ちょっとかなりの分厚い書籍なので、たぶん躊躇してしまいます。
でも、読んでみるとどんどんその世界に引き込まれてしまい、繰り返し読みたくなってしまう魅力があります。今回の「あまねく神龍住まう国」は「風神秘抄」よりも短い物語です。物語の舞台は伊豆。源頼朝が主人公です。一度は名前を聞いたことのある歴史上の人物ですが、この作品を読む前までは特に印象を持っていませんでした。
鎌倉幕府を開いた人というだけでした。物語は、頼朝が伊豆へ流されたところから始まります。父親も失い、味方だった仲間も失った頼朝。伊豆の豪族である伊東氏のもとで過ごしていましたが、ある日領主の伊東祐次が急逝してしまいます。そこから頼朝の運命は再び翻弄されることになるのです。
また「風神秘抄」で主人公であった笛の名手である草十郎とその妻・糸世も今回登場します。「風神秘抄」では、頼朝の命を救った二人。頼朝の命を救ったことによって、二人の運命も変わってしまっていました。再び頼朝の前に姿を現した二人は、彼と共に行動するようになります。ちょっとつかめない部分のある草十郎。
でも、なんとなく頼朝は彼に信頼を寄せるようになります。不思議な魅力があるのでしょうね。「風神秘抄」を読んだ後、ずっと草十郎と糸世がどのようになったのか、気になっていました。今回、この物語に登場し、その後の2人を知ることができ嬉しく思いました。また、伊豆という地域を舞台に展開される物語。
今も伝わる伝承を元に描かれた世界は、リアリティーがあります。本当に土地神である竜がいるのではないかと思ってしまいます。この本を読んだ後、伊豆へ旅行したくなる気持ちが湧いてきます。この場所に頼朝や草十郎が来ていたのかなという気持ちを味わいたいです。
(30代女性)
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