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読書感想文「どうしてあんな女に私が(花房観音)」

「どうしてあんな女に私が」の読書感想文

書店の文庫新刊コーナーでふと見かけ、キャッチーなタイトルと表紙の雰囲気が面白そうだなぁと感じて購入した。著者になじみがなかったので調べてみたら、なんと女性の官能小説家で、そう思ってタイトルを見てみると、なんだかヘヴィでドロドロしてそうで、いつも就寝前のひとときを読書の時間に充てている私は、この本読んだら眠れなくなるんじゃないかという不安に苛まれた。
 
とはいえ、せっかく買ったんだから地道に読んでみようと決意して読みはじめたら・・なんだかもう中毒みたいになって夜を徹して一気読みしてしまった!内容が濃いのは濃い。主人公の桜川詩子は官能小説家で、まさに著者自身のエピソードともカブる自叙伝的な要素があり、そしてこの小説で”あんな女”とされる春海さくらは誰がどう読んでも木嶋佳苗がモデルとしか思えない。 
 
そこでこれはフィクションではなくノンフィクションなのではないかととても臨場感とリアリティを感じてしまう。桜川詩子が取材をする、さくらと関わりがあった女性たちは一様にさくらと関わることでなんらかの迷惑・弊害を被り、恨みや嫉み、ある種の不条理感を感じて生きているように思った。さくらはブスでデブで本来決して羨望の対象となる人物でないにも関わらず、どこか敗北感を感じざるを得ず、みんな一様に苦しそうだ。
 
さくらを向き合うことすなわち、自分の中の女としての嫌な部分に向き合うことになり、それが苦しいのかなと感じた。一方の私は、木嶋佳苗については興味があると言えば興味がある。すごい猛者だなーとは思うが、女性というアイコンではどうしてもとらえづらく、やっぱり醜女だし、こう言ってはナンだが被害に遭われた男性たちも、福山雅治とか斎藤工みたいなイケメンではないし、まぁそんなもんかと思う。
 
本作を読んでも興味深くグイグイ引き込まれはしたのだが、比較的第三者的に捉えることはできた。これって自分が女性として恵まれた人生を歩んできたのか、すでに女を捨ててしまったのかどちらだろう?読後はそんな感情にしばらく囚われ、そういう意味でも女性としてどう生きてきたか、生きていくのかが問われる作品のように思う。
 
(40代女性)


 

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