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読書感想文「新世界より(貴志祐介)」

「新世界より」の読書感想文①

新世界よりはメディアミックス作品である。なので書店には漫画化作品が並んでいたし、アニメ化もされている。私は新世界よりという小説にちゃんと触れるまで、よくあるファンタジーか何かかと思っていた。それも当然といえば当然だ。今から思えば若干偏見を持っていたし、どこかで聞いた、映像化不可能というフレーズにも胡散臭さを感じていたからだ。
 
ともかく、この本を紹介していく。まずはどういうお話なのかについて軽く触れる。当然、ある程度ネタバレするので、それを承知でお読みいただきたい。作中には超能力が存在し、人々はそれを使って日々を便利に暮らしている。人間は労働力としてバケネズミという存在を従え、バケネズミは人間のことを、畏怖を込めて「神様」と呼んだ。
 
そう、神と呼ばれるほどの強力な力を、人間は持っているのだ。しかもそれが人類全体レベルでの話になる。つまり、この世界では人間というのは紛れもなく地球上最強の生命体なのだった。超能力のことは作中では呪力と呼ばれ、人々は幼い内からそれを訓練していく。物語の主人公は、まだ十二歳の少女、渡辺 早季。早季には四人の友だちがいた。
 
朝比奈 覚、秋月 真理亜、伊東 守、青沼 瞬。後に関係性が大きく変わっていく四人とは、その時はただの友達でしかなかった。小学校にあたる学校、和貴園にて、彼らは勉学に励む。毎日のように、呪力を鍛える訓練をしていた。そう、それこそ何事もないかのように、日常を過ごしていた。ある日突然、世界の仕組みを知るまでは。
 
と、いうのがこの物語の売り文句なのだが、しかし、それだけで終わらないのがこの作品、「新世界より」なのであった。というのもだ。物語は本来、起承転結で終わるのが基本だが、「新世界より」は起承転結どころか起承転転転転結という具合に、次々と情報が更新されては物語が劇的に動いていく。それを可能にしているのが、ページ総数1000超という大きなストーリーボリュームだ。
 
私は「新世界より」を読んでから長編に対する意識が随分と変えられた。そして、上下に分けられた小説に対する興味というのはとても増したように思う。物語についての話を更にする。「新世界」よりという物語の凄さについて語っていこう。この物語の凄いところは、シーンによって様々な小説のジャンルが楽しめる点なのだが、私は特に、ホラー描写について高く評価したい。
 
というのも、原作者の他の小説を読んでもそう思ったのだが、貴志祐介という作家は特に、得体のしれないものを描写するのがとても上手いのだ。そしてそれが物語を刺激的なものへと昇華させている。「新世界より」はジャンル的にはファンタジーだが、私はホラー・ファンタジーだと言っておこう。
 
「新世界より」は実に良質なエンターテイメントでありながら、私たちに面白い知識を与えてくれる。作中ではそれを攻撃抑制と呼んでいる。攻撃抑制とは、狼が同族を噛み殺してしまわないための、自らに貸したリミッターのようなものだ。それがあるからこそ、狼の一族は平和に暮らせている。
 
私は「新世界より」を読むまでは、狼にそんな物があることを知らなかった。だからこそ驚いたし、その設定の使い方についても衝撃を覚えたものだ。詳しい話は致命的なネタバレになるため伏せておく。ともかくだ。私は基本的に本を読む方ではないので、この本と出会う事ができたのは幸運というほかない。私はこの本が読めてとても満足だったし、この本をきっかけに、原作者の他の小説にも出会うことができた。
 
(10代男性)

「新世界より」の読書感想文②

著者は黒い家、クリムゾンの迷宮、悪の教典などで有名な貴志祐介である。彼はどちらかといえばホラー作家というイメージが強かったが、この小説は呪力や怪物やバケネズミなどがでてくる壮大な世界観の中で繰り広げられる子供達の成長を描く物語である。
 
舞台は1000年後の日本で呪力といわれる超能力のようなものを持った人々が閉ざされた世界で生活を送るところから始まる。早紀とうい少女が主人公になっている。物語は大きく3部に分かれ、早紀がそれぞれ12歳、14歳、26歳の時が描かれます。 最初は小学校の話で何気ない学校生活のような感じがあったが、その中にある”何か不思議な違和感”が読んでいく中で感じられる。
 
小さいころからの仲良しの早紀、覚、真理亜、守、瞬達の関係性を説明する前半で世界観の設定や内容の理解に少し読みにくい印象があった。
 
しかし、中盤、後半にかけて怒涛の面白さ、展開があり中盤からは一気にバケネズミ(知能を持ったネズミの亜人のような生物)を代表とした異形の姿を持つ生き物が登場したり、歴史の様々な事件やバケネズミとの抗争などに巻き込まれて少しずつ世界の真相がわかっていく といる物語で最後は非常に楽しめた作品だった。
 
また、新世界よりはアニメでもDVDで発売されておりこちらも非常に面白いです。。私は小説を読みながら、同時にアニメも同じ進み具合で見ていったのでより面白くアニメのいい部分と小説のいい部分がハッキリしてよりこの作品を楽しめたと思っている。
 
いろいろこの作品の紹介や評価などでSFという分野での紹介がされているが、SFというと宇宙だったり異星人といった印象になるが全くそんなことはなくてどちらかといえば古い昔のしきたりのある日本が特殊能力(呪力)を手に入れてその力に翻弄され支配され子供達が自分の思春期という心の葛藤、揺さぶりの中で自分達で考えて生きていくというSFの要素とはとおいところにある作品のように感じる。
 
(20代男性)

「新世界より」の読書感想文③

1000年後の日本が描かれているわけだが、私の想像をしていた日本とは全くの別物であった事が印象的であった。

SF小説であるので、SFによくある主人公たちには超能力が使えるというものだったがこれも私が思い描く派手な超能力とは別物でそこで描かれている「呪力」というものは、なんともシンプルなものであった。

主人公達の住んでいるところは中連縄に囲まれていて、そこから外にはでてはいけないとなっていた。夏の課外授業で、その外へ出る事になったことをキッカケに、どんどんと話が進んでいく。

主人公たちと、ともに多く登場するバケネズミというネズミといろんな物語を展開していくのだが、バケネズミたちの醜さがどうしても読んでいる私自身も、バケネズミ達を見下してしまうようになってしまう。

この、感情が後にこの物語の結末に大きな衝撃を与える事となった。サキという、主人公が書いた手記という形で物語が進んでいく。バケネズミと人間の戦争、残酷な話がおおく、主人公達を可哀想、バケネズミは敵だ!と感じる事がおおい。

だが全く意味のわからず繋がらないシーンや、色んな人の言葉の端々に、意味深なことが含まれていたりして不思議な気分にもなったりしたが最後はバケネズミの革命家が、人間の裁判にかけられ もっとも苦しむ刑を言い渡され ハッピーエンドだと思った。

しかし そこで叫ばれた一言。私達は人間だ! その言葉がどうも引っかかってしまったがさいごの最後の結末に驚きを隠せなかった。

その、結末を胸にもう一度読み返すと 1度目とはまた違う視点から物語を読むことができ、2度も、いや、3度も楽しむことができたが 色々となにが正しいのか、正義なのかを考えさせられた。

そして、自分らがやっていることこそが、正義なのだと疑わずにやってくることが 本当にいいことなのか、お互いの立場として考えることもできた。後味の悪いような感覚にもなったが、いまの自分たちにもあり得る事だというメッセージだと思う。 そう感じた。

(20代女性)

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