「青の炎」の読書感想文①
高校生の主人公が、次々に殺人を犯していくことに葛藤する姿がとても読んでて考えさせられた。大切な人を守るために決行した殺人が、いつしか殺人を隠すための殺人になっていってしまうのである。
殺人を重ねることで、平和な周囲の人間と距離を置くようになる主人公には、大切な思い人や家族がいるのだが、そんな主人公に異変を感じるようになる。彼女達が差し伸べようとする手を主人公はとっていいのか、拒絶するべきなのかとその選択肢に揺れてしまう。
助けを求め全てを話してしまえば、彼女達は味方になってくれる。だが、それでは彼女達を守るために行った殺人が無意味になってしまう。話をするということは共犯にしてしまうということだからだ。
殺人の罪の意識と警察のにじり寄る操作の手から、主人公の精神はギリギリまで追い込まれてしまう。自分はここまで読んでて、自分がもし主人公だったらどうするだろうかと深く考えさせれた。
もし現実に自分の身に起こったら、だいたいの人間が他人の助けを借りようとするのではないだろうか。だが、この主人公の取った行動はそれとは正反対のものだった。最初から、殺人者である彼の中には自分なりの「正義」がある。
そもそも彼が殺人を犯した経緯は家族を守るというのが根本にあった。助けを求めるということは、家族を守ると心に決めて犯した殺人の罪を、その家族に背負わせることになる。彼は葛藤と言う己の弱さに惑わされず、ある決断へとせまっていく。
当時これを読んだのが主人公と同学年だったのもあり、物語に深くのめりこんでしまった。主人公の作中での憎悪や葛藤の感情はとても印象深く、いまだに心に強く残っている作品だ。何かを大切な決断する時に人は、もろくなったり葛藤したりする時もあるだろう。
その時に、判断を間違わないように、自分の目的はなんなのかということに立ち返る大切さを学んだ。所詮創作のお話じゃないかと思う人もいるかもしれないが、創作でも何かを考えるきっかけになったということはとても意味のあることではないか。少なくとも私にとっては物事を考えるきっかけになったのである。
(20代女性)
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