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読書感想文「華麗なる一族(山崎豊子)」

「華麗なる一族」の読書感想文①

とても長い間有力者として日本の権力の一端を担ってきた、万俵家と、その外向きの豪奢さ壮大さに反比例するかのような内心、内情の醜さを描き切った一作。いわゆる父と息子が対決する、内紛めいた様相を呈する小説は数あれど、ここまで父が息子に対して非妥協的かつ徹底的に冷酷な潰しぶりを展開する作品は極めて珍しい。
 
前編冒頭などの、一見何の波風も立たない、穏やかそのものの家族風景や、長男の鉄平の思い出の中に存在する、家族水入らずの数々の思い出などに非常に多くの分量を割いているが、だからこそ財閥のトップで、銀行のオーナー頭取でもある万俵 大介の、苛烈なほどの容赦のなさや、女性関係に関する乱脈ぶりが際立っているとも言える。
 
また、醜聞の暴露、骨肉の争いのみならず、鉄平が指揮を取った鉄工所における社員たちの話し方や情景描写、仁義ないほどのせめぎ合い、徹底した競争を強いられている大介に率いられた銀行のハードな内情などが強烈な生々しさをもって活写されており、その部分だけを切り取っても経済小説として成り立つほど秀逸なものがあり、だからこそ、無心に、そして徹底的に自分たちの仕事を頑張っていく「現場」と、財閥の長である大介の乖離が極めて明確になっているとも言える。
 
本作が書かれたのは1970年代前半、まだオリンピックなどを経た高度経済成長と、終身雇用のシステムが十二分に生きている時代のことではあるが、その後かなりの時を経て、幾度にもわたってドラマ化されているところなどからも明白だが、本作の救いようもないほどの陰湿な激情の迸りは、時代を超えてもなお特筆されるべきものがあり、多くの世代に様々な感動を呼ぶに値するものがあると言える。
 
特に、大介の陰謀に激怒しつつも常に男気を持ち続ける鉄平の生き方には、共感した方も多かっただろう。
 
(30代男性)

「華麗なる一族」の読書感想文②

戦後の日本の銀行をモチーフにした昭和のお話である。私はこの時代にはまだ生まれてはいなかったが、物凄く解りやすい内容であったのだ。昔、阪神銀行と言う関西屈指の銀行があの手この手によって小が大を呑みこみ合併すると言うお話だ。その中で阪神銀行の頭取である大介は息子である鉄平のことを心底恨んでおり、我が子でありながらその我が子の会社をみすみす潰してしまうのである。

勿論、そこには複雑な内容が含まれてはいた。その内容とは、自ら頭取である阪神銀行の時代を生き残る為の策略に息子の会社を利用したのである。わざと息子の会社を潰し、そして息子に融資をしていた銀行を乗っ取ると言う恐ろしい話だ。息子である鉄平は、そんな策略のことも知らず父大介の策略にはまってしまうのである。

そして、会社が倒産してしまった鉄平は何と自殺を試みるのでした。本当にこの時ばかりは見ていて悲しく涙がこぼれてしまうのだ。親子でありながらお互いの気持ちが通じ会わず、やがて息子が自殺と言う残酷なお話だ。また、なぜ父親である大介は息子である鉄平をそうまでして憎んでいたのか、また何故愛していなかったのかと言うと、何と鉄平は大介の実の息子ではないと思っていたからなのである。

それには昔ながらの風潮がそういった悲しい話をしてしまったのだ。鉄平が生まれた際に血液検査などをした時に出来てしまった間違いがはじまりであった。血が繋がっていないと思っていた鉄平が実は本当に大介の息子であったのだ。そんな大切なこともきちんと調べておかないから、こんな悲しい話を起こしてしまったのだ。

そして、鉄平が死んでからそんな事が明かになり、鉄平が可愛そうに思えて仕方あひませんでした。また、事実を知った大介も以前とは少し心が入れ代わり、死んだ鉄平のことを思い出すのだ。私も最後にこの事を知った時には物凄く衝撃的だなっと思ったのである。本当に最後まで目が離せなかったお話だと思ったのだ。

(40代男性)

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