仕事に行き詰まり、なんとなく書店で手に取ったのがこの「この世にたやすい仕事はない」だ。津村さんの本はまったく読んだことがなく、完全に題名だけで衝動的に選んだといえる。本当は仕事関係ではなくもっとカラッとした元気になれるような本を探していたはずなのだが、どうしても惹かれたのである。結論からいうと、わりとカラッと元気になれた。
なんでだろうと考えてみたのだが、主人公(名前は出てこない)が30代女性であり、前職で燃え尽きてしまったこと、なんかが自分とかぶったからだろうと思う。主人公がすごいのは、ちゃんと仕事をしようとどの仕事もものすごく一生懸命になることである。それゆえに、転職せざるをえない状況になったりもするのだが・・・。
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前職で疲弊しているがゆえに、主人公はなるべく簡単そうな仕事を選ぶのだが、題名通り「この世にたやすい仕事はない」のである。モニターテレビで小説家の監視をする「みはりのしごと」、バスで流れるアナウンスをする「バスのアナウンスのしごと」、お菓子会社でのおかき小袋に記載される豆知識を考える「おかきの袋のしごと」、ポスターを張り替える「路地を訪ねるしごと」、森林公園の小屋での事務「大きな森の小屋での簡単なしごと」などなど。
一見してそんなに難しそうな仕事はない。特別な資格や経験はどれも必要ない。というわけで主人公は転職するのだが、そこではおかしな依頼があったり、どうにも腑に落ちないことがあったりと、ほんのりミステリーなのだ。私がこの中でリアルに仕事を選ぶならば、「みはりのしごと」と「大きな森の小屋での簡単なしごと」あたりがやりたいなと思った。
人となるべく接しなくていいし、黙々と作業を行えばいいからである。「路地を訪ねるしごと」はポスターを延々と張り替える仕事だからいいかな?と思ったが、結構周りの人の目が気になったり通行人に声をかけられるのはなんだか嫌だなぁと思って除外した。
なんて考えてみたところで、こういう仕事が募集されることはほとんどないだろう。でもありそう。すごくリアリティがあるのだ。主人公のまわりの人たちはみんな一癖、二癖ある人ばかりだ。そんな中奮闘する主人公に、少し勇気をもらったのだろうか?もうちょっと仕事頑張ってみようかな、と思えた一冊である。
(30代女性)
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