読書感想文「女の河(平岩弓枝)」

本作は、平岩弓枝先生の小説です。まだバブルが弾ける前の時代を背景に、男女の愛憎や、必死に試練を乗り越えなようと生きる姿を描いています。物語は、イタリアのミラノから始まります。婚約者を訪ねて来た、若い女性・五辻桂。しかし婚約者の支倉は多忙で、ガイドの青年に桂の相手を依頼します。寂しそうな桂に、密かに惹かれるガイドの大庭公平。

 

支倉はその時、自社の社長夫人の土屋美也子の案内をしていました。美也子は、実は公平の実の姉。しかし、三十以上年の離れた夫に嫁いだことから、弟と疎遠になっていました。密かに、社長夫人の美也子に憧れを抱く支倉。複雑な人間関係がスタートした瞬間です。

 

 

 

元社長秘書の美也子は、夫・土屋大和の求めで彼の妻になりました。しかし玉の輿に乗った今、冷酷な夫や、美也子に冷たい姑や小姑に囲まれ、満たされない毎日を送っています。日本で桂に再会した公平は、ますます彼女に惹かれます。しかし、彼女は婚約者のある身。困難を乗り越えて、桂も公平に惹かれ始めます。

 

しかし二人が心を通じ合わせた時、桂に横恋慕する議員のドラ息子が、彼女を卑劣な罠にかけました。無理矢理に身体を奪われて、深く傷ついた桂は、公平から離れようとします。公平の気持ちは変わりませんが、桂を利用しようと父親の議員や、美也子の夫が彼らを引き離そうと圧力を掛けます。間に入った美也子は、板挟みで苦悩することに……。

 

公平は、桂の手を取り逃げ出します。そして、夫への不信に耐えられなくなった美也子も、別れる決心をします。社長に議員など、権力者の前では、美也子も公平も桂も、あまりに無力です。でも、必死に抗い、思う通りに生きようともがいています。そんな彼らを陰ながら助ける、友人や知り合いの老夫婦など、市世の人達の姿が清々しいです。

 

踏みつけられても、負けず純愛を貫こうとする公平と桂。裕福な立場を捨て、望む道へと踏み出した、美也子と支倉。そして、成功者でありながら人を信じられずに孤独な土屋大和。人の幸せとは何か、改めて考えさせられます。

 

(30代女性)

 

 

 

 

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