読書感想文「青空のむこう(アレックス・シアラー)」

死ぬこととは、生きることとはどういうことなのか、改めて考えさせられる物語だ。交通事故で突然死んでしまった少年、ハリーが主人公の物語。物語はいわゆる死後の世界からスタートする。死後の世界には「現在地」と「彼方の青い世界」があり、心残りがない者は彼方の青い世界へと旅立ってゆく。

 

しかしハリーにはやり残したことがあった。それは、ケンカしたまま死に別れた姉に、謝ることだった。死後の世界で知り合ったアーサーと共に、やり残したことをするために、現世へと向かったハリー。

 

よく映画などであるように、死んだ者が生きた者の前に姿を現したり、話したりすることはできない。しかし、死者は念のようなもので現世の物を動かすことができる。ただし、物を動かすのはそう簡単なことではなく、相当の力やコツが必要だ。ハリーはペンを動かし、メッセージを書くことでやり残したことを清算する。

 

 

 

必死の思いでペンを動かすハリーの姿には素直に感動した。目の前に大切な人がいるのに、相手には自分が見えず、話すことも、触れることもできない。そんな状況がどれだけ辛いか、悔しいか。それでも、今できる方法で最大限に思いを伝える。生きている間は、心残りがあっても、いつかまたやればいい、そのうち機会がやってくるなどと考えてしまいがちだ。

 

しかし、死んでしまったらそうはいかない。本当に死後の世界があるのならば、死んでしまってからの心残りの方が当然大きくなるだろう。人は必ずいつか死ぬ。明日、明後日、何十年後、それがいつやってくるのかは誰にもわからない。ハリーのように、突然事故で死んでしまうこともある。

 

だからこそ、「明日」ではなく、「今」なのだ。今やることが重要なのだ。今を存分に生きることが大切なのだ。わかってはいるが、日々生きていく中で忘れてしまっている大切なことを、痛いくらい真っ直ぐに伝えている。ハリーも、そのとき自分にできる最大限の方法で思いを伝えた。たくさんの言葉を綴ったわけではない。

 

可能ならもっと伝えたかったこともあっただろう。それでも、その時の可能な限りの力は出し切った。だからこそ、ハリーは彼方の青い世界へと旅立っていったのだろう。

 

(20代女性)

 

 

 

 

青空のむこう

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