車輪の下と聞いて思い浮かべるものはなにか?わたしは真っ先に駅のホームから飛び込んで轢死してしまったイメージが浮かぶ。生暖かい血が止まること無く冷たい車輪の下を染めていくそんな光景が見えてくる。もちろんこの作品はそんな血なまぐさい話ではないのだ。
電車に轢かれるとかそんな描写などはない。ただわたしは、「車輪の下」という冷たい世界観のことを表しているのではないかと思う。どのような話かというと少年ハンスは田舎町の頭のいい子供だった。現代社会でいうと挫折をしらないエリートのようだ。
街中の希望と父親の期待を全部背負い込んで一番優秀な学校に入学する。この希望と期待が少年にはいささか重すぎたようだった。夢も希望もすべて背負い込むほど少年の体は大きくない。エリートが集まる中でいかに自分が井の中の蛙を思い知ることになった。少年には初めての体験だったんだろうと思う。
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日々疲れていき最後には同級生と小競り合いを起こしてしまい学校を去ることに。学校を去ったあとは作業員になった。一からやり直すには、全然間に合う年頃だ。しかしまわりへの挫折と劣等感が拭えず、最後は酒に酔ってしまい川へ転落し溺れ死んでしまったのだ。わたしが思ったことは、どこぞのアイドルが「努力は必ず報われる」と言うが半分正解であり半分不正解なのだ。
努力すれば誰でも成功者になれると捉えられる。努力すれば日本中サッカー選手と野球選手とモデルであふれるだろう。努力することは簡単だがそれを継続することが大変だとわかった。努力に終着点はなく死ぬまで続くのだ。この少年は、途中で止まってしまったから転落してしまったのだろう。エリート学校に入学するまでがゴールだったのだ。問題はそこからまた始まる競争なのにレースを始める前に座ってしまったのだから。
何事もがんばるのもいいがわたしは身の丈にあった場所が一番落ち着くと思う。終わらせることは簡単だが続けることはもっと大変だとわたしは思う。身の丈にあわない場所に行けばすぐ車輪の下のような冷たい場所へ堕ちてしまうのだから。
(30代男性)
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読書感想文「車輪の下 (ヘルマン・ヘッセ)」
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