読書感想文「なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃(片田珠美)」

久しく、本を購入して読むということをしていなかった。活字を読むのは大好きだったが、いつでもスマートフォンで情報を得られるようになり、短い記事やニュースを読めば満足するようになっていた。また、毎日の雑務や生活に追われ、本をゆっくり楽しむという余裕を無くしていたのも事実だ。
 
独身アラサーOLの私は、両親と同居しており、毎日小さな衝突が絶えない。かと言って、ひとり暮らしに踏み出せる金銭的・精神的余裕もなく、日々を悶々と過ごしていた。そんな生活が続き心が疲弊いた頃、ふと立ち寄った本屋でこの本に出合った。
 
「なぜ、「怒る」のをやめられないのか」というタイトルが、当時の私の心情そのままだったのだ。家族関係で悩み怒りを抱え込んでいた私は、すぐにその本を購入し近くのカフェで読み始めた。今まで私が感じていた正体不明の「怒り」が、本を読み進めるたびにあぶりだされる感覚を覚えた。
 

 
 
私はこれまで、摂食障害やうつ病を経験している。それらの症状に関しても、「怒り」が大きく関係しているのが分かった。また、これまで私が家族から受けてきた言動が、この本の副題にある「受動的攻撃」というものに当てはまることを知った時、なんだか許されたような気がした。
 
家族の中で異端とされてきた私だったが、おかしいと感じていた感覚は間違っていなかったと言ってもらえたような気がしたのだ。私の家族は、約束を忘れたり、時間を守らなかったり、とにかくルーズだった。それはその人の個性であり、付き合う側が折り合いをつけなければいけないことと思っていた。
 
しかし、それらは巧妙な「受動的攻撃」の一種であるということを本書で知った。これまで、些細なことに傷つき弱ってしまう自分がいけないのだと思い、一生懸命ポジティブに物事を捉えようと努力した。しかし、相手の言動が自分自身に向けられた「攻撃」だと気づいた時、それまで行き場のなかった怒りが昇華され、とても楽になった。
 
家族間の問題が一気に解決するわけでは決してないが、付き合っていく上でのヒントをとてもたくさんもらった気がする。また、家族関係のみならず、職場の人間関係や友人関係、パートナーとの関係で悩んでいる人にはとても参考になる本だと言える。
 
自分自身の「怒り」と向き合うのは、とても恐ろしいことである。しかし、そこに向き合い目の前で起きている問題の本質を知ることができたとき、必ず何か得られるものがあるはずだ。少なくとも私は、本書を読んだことで大きな気づきを得て、それまでの家族関係を改めるきっかけとなった。
 
両親との同居をやめて、ひとり暮らしをする決断をした。そうしたことで、大好きな本を読む心のゆとりも生まれた。この本が私の人生を大きく変えた一冊であることは、間違いない。
 
(20代女性)
 
 
 
 

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片田 珠美
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