読書感想文「かもめ食堂(群ようこ)」

この本を読んで一番心に残ったのは家族以外の人たちと深い絆で理解し合ったり、時には手を差し伸べたりすることがこんなに自然にできるのだということだった。主人公のサチエが異国の地で開いた小さな食堂に偶然に引き寄せられた二人の日本人の中年女性たち。彼女たちはそれぞれにこれまでの人生で何かをあきらめながら、失いながら生きてきた心優しい女性達だった。彼女たちとサチエとの心の交流はきっと家族との間ではできないものだと思った。

 

私は今まで自分の家族うまく付き合うことができずに悩んできた。家族と仲良くしなくちゃいけないと思っていたし、そうできない自分をだめだと思ってきた。でもこの本を読んで、それはそれで仕方ないことなのかもといい意味で開き直ることができる気がしている。人生の長い年月の中でたくさん経験し、傷つき、それでも上を向く歩いていけば同じように懸命に生きてきた心優しい誰かと偶然に出会い、少ない言葉を交わすだけでいろいろなことが分かり合えてしまうというような素晴らしい体験が待っているのではないかとそのようなことを感じることができた。

 

もう一つこの本を読んで変わったことといえばこれからは自分の得意なことや好きなことをやろうと思うようになったことだ。今までは自分が苦手だと感じることや違和感を感じることもやらなくてはならないと思ったし、むしろそれがうまくできない自分を責めたりもした。なんで自分はこんなに人と違うんだようと悩んだりもした。

 

 

でも主人公のサチエが好きなことを心を込めてしている姿がより自然体で、魅力的な人間の姿だと感じた。おにぎりを愛し、食べ物を愛し、店をきれいに整え、元気な掛け声でお客を迎えるその姿に。この本は、無理強いをして周りと同じように足並みそろえて生きるのはやめたいと思っていた自分の決意をそっと後押ししてくれた気がしている。

 

それからこれはかなり実際的なことだけど、おにぎりをよく作るようになった。おいしそうな料理がたくさんでてくるのもこの本の魅力の一つだ。今までは結構いろいろな料理を時間をかけて作っていたけれど、簡単においしくできるおにぎりの魅力に気づいてしまった。なにより素朴でおいしいのが一番だと思う。

 

(30代女性)

 

 

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