読書感想文「パンとスープとネコ日和(群ようこ)」

 
編集者のキャリアウーマンとしてバリバリ働いていた主人公・アキコが、たった一人の肉親である母親が亡くなったことを切っ掛けに、仕事を辞め母親が営んでいた店舗で新たに手作りの美味しいサンドイッチやスープがメインのお店を開く物語。
 
食いしん坊なオス猫のたろ、やアルバイトのしまちゃん。少し口うるさいご近所の喫茶店のママなど、何とも言えない味のあるキャラクターも作品に色を添えている。迷いながらも人とのささやかな交流を通して、お店を切り盛りするアキコ。
 
特に作品内で大きな山場などがないため、起承転結がハッキリした作品を好む人には物足りなさを感じるかもしれないが、それでも丁寧に描写された主人公の感情の揺れや生活風景は何とも時に言えない優しい味わいがあり癒される。

 
 
店の主人であるアキコがこだわった、それぞれの食材やパンなどの食事風景もなかなか美味しそう。人の口に入るものだから、と当たり前ではあるけれど食事に大変気を遣うその姿勢は現代の外食産業にも見倣って頂きたいものである。
 
またシングルマザーであったアキコの母親カヨとのかつての遣り取りや母娘関係も、現代にも通じる大変リアルに描かれている。かと言って、昼ドラにありがちなドロドロとしたしつこい描写ではなく、この作者特有のユーモラスで淡々とした文書であるため、スラスラと読むことができる。
 
また作者が大の猫好きで実際飼っているためか、猫のたろの性格や仕草も可愛いけれど猫らしく気まぐれなところや困ったところもおもしろい。アルバイトのしまちゃんも、体育会系らしく寡黙ではあるけれど細やかな気配りができる、女性読者にとっては大変魅力的な女の子である。
 
今後、彼女がどのように作品の中で成長していくのかも読んでいて楽しみ。途中、母親のかつてのお節介な友人から教えてもらった異母兄弟である住職の優しい奥様との遣り取りにも目が離せない。忙しい日常を少し癒してくれる。
 
(20代女性)
 
 
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