「細雪」の読書感想文①
四姉妹それぞれの人生観や性格、行動が見事にバラバラで、それでいてお互いを理解して時に助け合い時に心配のあまり相手の行動を制限してしまう様子が、自分の姉との関係のようでいて印象的だった。
近所から美人と評判の姉妹を自慢に思う一方、「私だって負けていない」と思ったり、そんな自慢の姉妹が嫁ぐ相手を釣り合わないと思い不満を感じたり。細雪を読んでからは前述のような複雑な感情を姉に対して抱いている自分に気づかされ、また、もしかして姉も同様なのでは、と思うようになった。
両親や恋人より一番近い存在で、誰よりもお互いを理解している関係が兄弟姉妹だと常々思っていたが、意外にもライバルとも呼べる、常に張り合っていたい関係かも知れない。ただ決して悪い印象ではなく、どちらかというと「私はいまこんなに幸せ」「私はこんなお得情報を知っているよ」レベルの張り合いなので、お互い素直に相手を『凄い』と感じれば褒めたり、『それは間違ってるんじゃない?』と思えば率直に意見を言い合ったりできる関係だ。
そんな関係を姉と築いてこれたことは幸せなのだな、という思いがこの作品を読み終えた後に感じた第一印象だった。思春期ならいざ知らず、20代後半、30代ともなると険悪な姉妹は私自身の周囲にはいない(と思っているだけだろうか)。年齢を重ねて昔ほど開けっぴろげにはしゃがず落ち着いた雰囲気の姉妹もいるが、皆姉妹を尊敬し、たまに悪口やグチを言うこともあるけれど、その裏には愛情を感じる。
細雪の四姉妹もちょうどこれくらいの年齢であり、姉妹同士で他の姉妹のグチを言うことはあるが、「憎い」「嫌いだ」という印象は受けない。細雪の中で取り上げられている話題でもあるけれど、結婚を機に姉と住居が離れてしまったことはとても寂しい。
ただ、細雪の描かれている時代より文明が進歩してくれたおかげで、姉といつもラインや電話でテレビ会議ができる。お互い家庭を持って独立したとは言え、やっぱり姉妹は他人とは一味違う関係。これからも支え合い、切磋琢磨できる関係でいたいと改めて感じた。
(20代男性)
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