「痴人の愛」の読書感想文①
私が大学生の頃、どんなストーリーかもわからず谷崎潤一郎とタイトルがなんとなくきなって読んだ一冊である。大学生だった私は恋愛に真っ最中のころであった。でも、その頃の私は、同じ年の男の子と一般的なお付き合いをしたことしかなかった。
そんな私にはとてもディープな恋愛事情が描かれた作品であるが、なにせ恋愛には興味津々な年頃ということもあって、最初から面白くて食いつくように読んだ。年下の女性が一回りも年上の男性を翻弄していくストーリーに、どんどんはまってゆく。そして、読み進めていくうちに、ナオミに惹かれていった。
ナオミみたいに自由でありながら、こんな贅沢な愛され方されたいなぁと、ナオミになった気になって読んでいた。ナオミになった気分でいると、主人公の譲治が、お金もかけてくれるし、どんどん愛してくれるので、すごく気分が良い。女性としては最高な気分になれる。
そんなうちに、あっという間にお話が終わってしまう。ストーリーの終わりには、まだまだこの愛に溺れていたいと、名残惜しさを感じた。読み終えて、100年近くも昔に、こんな恋愛を書いた小説があることにびっくりした。現代でも通じる垢抜けた恋愛模様ではないかと思った。
そして、この作品を読んで今までの自分の恋愛に物足りなさまで感じてしまった。実は、この作品を読む少し前にエイドリアン・ラインの映画「ロリータ」を観ていて、これにもどっぷりはまってしまっていた後だったので、「痴人の愛」を読み終えた後は、年上の男性と交際することに、輪をかけて興味をもった。
更には、ナオミのように男性を翻弄させる女性に自分もなってみたいと憧れさえをも持った。実際、その後はお付き合いしたのは年上の男性ばかりである。なかなかナオミのようにはいかないが、年上の男性の寛容さに甘えつつ、年上の男性に釣り合うような品を持ち合わせた女性になって、少しいいレストランに食事に行くのが若い頃の私の小さな夢ある。そして、いつもどこかでナオミを演じていたような気がする。
(30代女性)
Audibleで本を聴こう
Amazonのオーディオブック「Audible」なら、移動中や作業中など、いつでもどこでも読書ができます。プロのナレーターが朗読してくれるのでとっても聴ききやすく、記憶にもバッチリ残ります。月会費1,500円で、なんと12万以上の対象作品が聴き放題。まずは30日間の無料体験をしてみよう!!