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読書感想文「老人漂流社会(NHKスペシャル取材班)」

「老人漂流社会」の読書感想文

老人が施設を転々としている実態を実在の老人の過去からの人生を表し、現在にある不具合を紹介した書籍である。自分の将来や老後に漠然とした不安を抱いている人は少なくない。結婚をしていない人、子供がいない夫婦、離別した人…頼れる家族をもたない人は、歳を重ねるにしたがって不安を募らせる。
 
心配なのは自分の将来だけではない。田舎にひとり暮らしの親がいる中高年世代は、差し迫った問題として「老後」と向き合っている。色々な人々がいるのであるが、老後は皆に訪れる、年齢に関わらず、今考えていかなければならない問題を先送りにして今を生きている人々に問題提起している書籍である。
 
ある老人は、以前、この男性はトラック運転手で収入を得て、息子と娘と妻の家族4人で生活していた。定年退職で妻と二人の生活になって、これから余生を楽しもうとしていたとき、その矢先、奥さんが突然亡くなってしまった。男性は自宅で50代の息子とふたりで暮らすようになった。 
 
息子は独身で、いわゆるシングル介護のような形で男性を支えた。だが、その息子も脳梗塞で倒れてしまう。最後の頼みの綱の娘も嫁ぎ先に介護の必要な義理の両親を抱えていた。結局、収入面での壁もあり、男性は無料低額宿泊所という、通常ホームレスの人達のための施設で暮らすことになった。息子や娘に迷惑をかけたくないという思いから、三畳の部屋を終の棲家と決めたのだった。
 
現在の風潮から子供がいても、介護が必要になっても頼れない。また、子供たちにもその時代の歳で介護ができず、親は施設を転々として、漂流させざるを得なくなる。今、どのような安定した家族構成であろうとこうなるかわからないということが心にしみわたる。
 
漂流のはてに路上にたどり着いた駅や改札口の周辺のベンチに何時間も座っているお年寄りの姿、スーツケースを引きながらとぼとぼとあてもなく歩くお年寄りの姿を一度はみたことがあるのではないだろうか。たとえ目に入っても、高齢のホームレスがいるとしか思わず、とくに気に留めず、通り過ぎる人が多いかもしれない。
 
この人達は「認知症高齢者」だとしたら、その姿こそ、実は「将来の自分」の姿かもしれないと提起している。認知症の高齢者が今後増えていくことを考えれば、自分はならないと思うだけでは、認知症は防げないであろう。日々の不摂生、酒やたばこ、体に悪影響を及ぼすことがわかっていても、ズルズルと続ける。
 
認知症は確率の問題であるので、リスクのあることをやめたとしてもならないとは限らないが、自分の人生を真摯に考えれば、変えていく自覚が必要であろう。この記事は、高齢者が認知症になり、町のなかを漂流していくさまを、実際の老人を記事にして表している。
 
池袋の駅に通路でぽつんと柱にもたれかかり座り込んでいる高齢の女性がいた。話を聞くと人が荷物を盗むと話をする。統合失調症であるとのこと。現実とは違う自分だけの世界で生きているとのことである。町に「認知症高齢者」がいたるところにいる記事にしている。人々は皆、歳をとり老人となる。できるだけ将来の準備をしてこれからを生きていきたいと思う。
 
(60代男性)

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