読書感想文「沸騰都市(NHKスペシャル取材班)」

この「沸騰都市」という本はNHKスペシャルを本に書き下ろしたものである。このNHKスペシャルの大きなテーマは「沸騰都市」のタイトルの通り、国家ではなく、エネルギーでまさに沸騰しているかのような「都市」を捉え、その一部始終を描き出すことにあった。
 
選ばれたのは、ドバイ、ロンドン、ダッカ、イスタンブール、ヨハネスブルク、サンパウロ、シンガポール、そして東京である。まさに沸騰都市の名にふさわしい都市たちである。グローバリズムの名の下に世界をマネーが縦横無尽に駆け回り、様々な欲望や思いが翻弄されていく。
 
このシリーズのNHKスペシャルを実際リアルタイムで視聴していたが、画面から熱気あふれるような感じであった。そして、このNHKスペシャルが面白くなったのは、偶然の出来事に起因している。このシリーズの前半が放送した後、2008年に金融危機が発生、シリーズの構成の変更を余儀なくされたのだ。
 

 
 
そう、あの金融危機はグローバリズムに乗って駆け回っていたマネーを逆流させ、グローバリズムで世界が覆われているがゆえに世界の経済を大きく後退させてしまった。つまり、前半シリーズでは、金融危機前の沸騰していた都市、そして後半シリーズではすっかり熱が冷え切り、沸騰などと言っていられない状態になった都市を対比させることになった。同じ都市が金融危機一発での様変わりようはすさまじく、取材班が同じ人物を訪れても言っていることがかなり変わってしまっている。
 
この本はそういった金融危機前の熱狂と金融危機により冷め切った状態を見事に活字で表現している。100年に1度と言われた金融危機の状況が意図していなかったとはいえ、克明に記されているのは圧巻である。そして、この本の出版が2010年であるが、このときから世界はどう変わったのか。そういった現在との比較などを行うのにもよいかもしれない。なかなか作ろうと思っても難しい番組なので映像だけでなく、活字で手元に残しておくのもいいだろう。
 
(30代男性)
 
 
 
 

沸騰都市
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