読書感想文「ウォーターゲーム(吉田修一)」
「ウォーターゲーム」の読書感想文 「太陽は動かない」「森は知っている」に続く鷹野一彦シリーズの3作目である。正直、書評やネットのレビューの評価は芳しくないが、私は面白かった。「水道事業民営化」を巡る利権争いが発端の九州で...
「ウォーターゲーム」の読書感想文 「太陽は動かない」「森は知っている」に続く鷹野一彦シリーズの3作目である。正直、書評やネットのレビューの評価は芳しくないが、私は面白かった。「水道事業民営化」を巡る利権争いが発端の九州で...
「彼女は頭が悪いから」の読書感想文 この話は実際に起きた、東大生の強制わいせつ事件がもとになっている。登場人物たちの出身校も少し名前を変えているが、ほぼそこから推測されるものも多く、学校ごとのレヴェルによって、それぞれ悩...
「静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた」の読書感想文 内定を取り消され絶望していた大学4年生の行成と、小学校6年生の少女マサキの淡くも切ない12歳差の恋物語である。視点はほぼマサキで語られ、幼い少女マサキが少しず...
「旅猫リポート」の読書感想文① 文庫本を購入して合間を見て読み、1ヶ月くらいで読み終わった。なんだか心あったまるような動物ものか家族ものが読みたくなったので、タイトルに猫という動物の名がはいっていて、どうやら猫が主人公ら...
「優しいおとな」の読書感想文 桐野さんの作品を読んでいつも驚く事は、本の中で起きている事が何年か経って本当の現実になる、という事だ。 OUTが発売された時にも、普通の主婦が深夜から早朝まで工場で働くなんてとても信じられな...
「奥様はクレイジーフルーツ」の読書感想文 図書館で作者名だけを見て借りた本だったが、読み始めた時は、柚木さんの小説は好きだけど、この話は途中で読むのを辞めてしまうかもしれないと思った。題名にフルーツとついているだけあって...
人魚が人間の姫になる物語が時を越えて愛され続けるのなら、その逆があってもいいじゃないか。読み終わったその瞬間、心の底からそう思った。 ヒロインであるイライザと共にこの物語の中核を成す「彼」は決して一般的にイメージされる「...
「絹の変容」の読書感想文 私は篠田節子さんの絹の変容を読んだ。この小説の舞台は東京の八王子である。主人公は絹を作る絹屋の息子。自分の実家を継ぐのを渋っていたが、もう30歳に近くなり妻子をもらい渋々実家を継ぐことになった。...
私はお盆や年末年始などの長期休暇には帰省する。移動の電車内や実家では本を読んで過ごすことが多い。今年のお盆の帰省時に読んだ本は『会計天国』だ。著者の竹内謙礼は経営コンサルタント、青木寿幸は公認会計士である。今回の作品は経...
就職活動に失敗して、ホストで金を稼ぐなんて、もしかしたら今やありきたりな生活転身なのかもしれない。夜の仕事というだけで偏見を持ってしまいがちだが、やはりホストという気持ちにもなってしまう。おう吐した痕跡があったり、同じお...
「ミッキーマウスの憂鬱」の読書感想文 最初のとっかかりは、この小説が東京ディズニーランドを舞台にしているということで、手にとってみました。もちろんかなり詳細なヒアリングの上で、舞台設定がされていますが、かなりフィクション...
「イニシエーション・ラブ」の読書感想文① イニシエーション・ラブという本を読み終えたとき、すぐに思ったことは「どういうこと?」という何とも言えない不可解な感覚だった。しかし、改めて考えていくうちに多くのことが繋がっていき...
「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」の読書感想文 わたしが最近感銘を受けた本は、西原理恵子著「女の子がいきていくときに、覚えていてほしいこと」だ。この本は、漫画家として生きてきた著者が、反抗期を迎えて親離れ...
「春の雪」の読書感想文 映画化もされた悲恋と運命に抗う者達の物語である。大正時代の生活や建物や風習なども色々と興味深い。主人公は清顕という、侯爵家の御曹司。そしてヒロインは聡子という由緒正しい伯爵家の令嬢だ。二人は幼なじ...
「フォルトゥナの瞳」の読書感想文① 本作品の主人公は『人の死』が目に見える、いわゆる『フォルトゥナの瞳』のような能力をある日突然持った。死に近づいた人が薄っすらと透き通って見え、最終的にはほぼ透明に見えてしまう能力だ。死...
「ポイズンドーター・ホーリーマザー」の読書感想文① 湊かなえの小説を一度は読んだことがあるならわかってもらえると思うのだが、ある意味期待通りに期待を裏切ってくれるストーリーばかりである。テンポの良い短編小説が連続している...
この物語りに出てくるデパートは、私の幼少期に見た風景である。物語りの舞台となる星野百貨店は、懐かしさで溢れていた。ドアマンに出迎えられ、優しいエレベーターガールのお姉さんに案内され、いつもの日常とはほんの少し違う空間に迷...
この本の主人公のリッキー・スタークスは、いつも規則的な毎日を送る、精神分析科医である。彼のクリニックには毎日のようにいろんな理由で心を病んだ患者が通う。患者は、皆予定通りの時間に、予定通りの合図で来院し、予定通りの時間で...
「愛してよろしいですか?」の読書感想文 本作は30を過ぎた仕事に生きる主人公のすみれが、ひょんな事から大学生と恋におちてしまい彼の一挙一動に翻弄されてしまう姿を巧妙に描き出したものである。初版は1982年であるが、「働く...
「がらくた」の読書感想文 読み終わった直後に思ったのが、この本タイトルなんだったっけ?だった。“がらくた”ということは分かっていたのだけれど読み終わった後に内容とタイトルがうまく結びつかなかったのだ。作中に頻繁にがらくた...
「劇場」の読書感想文 「なんだか村上春樹みたいだなぁ」が最初の感想である。登場人物がちょっと病んでいるところや、全体的に暗いところや、風景の丁寧な描写など、どうしても村上春樹を思い出させるような本だったと思う。また、「又...