私はお盆や年末年始などの長期休暇には帰省する。移動の電車内や実家では本を読んで過ごすことが多い。今年のお盆の帰省時に読んだ本は『会計天国』だ。著者の竹内謙礼は経営コンサルタント、青木寿幸は公認会計士である。今回の作品は経営・会計のテクニック・スキルを小説仕立てで披露するという内容のものだ。
物語は娘の結婚式を間近に控えた経営コンサルタントが交通事故に遭って死亡するところから始まる。その主人公が死神から提案され、現世への復活をかけて会計に関することで困っている人たちを幸せにしてするべくアドバイスをしていく。実務的な内容の割にぶっ飛んだ設定がおもしろい。アドバイスをする相手は生きていたときに主人公に接点があった5人。
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主人公は誰かに乗り移って5人へアドバイスをするのである。アドバイスしていくうちに主人公は娘の幸せとは何か、死神はなぜ自分に提案したのか、考えていく。やはり、小説には人間の心の動きはかかせない。会計や経営のテクニックを紹介するだけなら、HowTo本やビジネス書に任せておけばいいのだ。
そして、最後にアドバイスをする相手は娘の婚約者である。婚約者の会社は立て直すのが困難なほどに末期的な状態。婚約者の元カノに乗り移った主人公は娘との婚約を破棄する代わりに資金提供を申し出るが…。この本は経営・会計のテクニックを紹介しながら、人の幸せとは決してビジネスの成功やお金だけでは測れないことを伝えているのだ。自分の意思を貫くこと、仕事ではないものを守ること、伝えている内容は目新しいものではないが私は十分に楽しめた。
5人を幸せにし、現世への復活の条件を手にしつつも主人公は先だった妻と一緒に新たな仕事の待つ天国へと向かう。やはり仕事がもたらしてくれる幸せというものもあるのだろう。昨今叫ばれるワークライフバランスはややライフに重点が置かれている向きもあるが、ワークを充実させることでさらに幸せになれる、とこの本を通じて私は感じたのである。
(30代女性)
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