読書感想文「チュベローズで待ってる(加藤シゲアキ)」

就職活動に失敗して、ホストで金を稼ぐなんて、もしかしたら今やありきたりな生活転身なのかもしれない。夜の仕事というだけで偏見を持ってしまいがちだが、やはりホストという気持ちにもなってしまう。おう吐した痕跡があったり、同じお店の中で気に食わないからといやがらせをしたり争ったり、お金に目がくらんだ者のなれの果ては、深い闇を抱えることになる。

 

そんな中で出会った彼女は、最初は金をむしり取るだけだったかもしれないが、どこから愛してしまっていたのだろう。同じ闇を抱えた女性という点で、惹かれあってしまっていたのだろうか。年齢も離れていて、可愛いとも思えない女性に、徐々に近づいては微妙な距離を保って、これから、というときにその女性が自殺してしまうなんて、一生引きずってしまうに違いない。

 

 

 

私なら、ホストを辞めるどころか後を追ってしまうかもしれない。それも、私のことを好きになりすぎてしまってお金に困り、会社のお金を横領してまで私にはまってしまったのかと知った時点で、後悔してもしきれない。最後はそうではなく、最初から死ぬつもりだったからと知って少しほっとしてしまうはずだ。

 

死ぬつもりだったから、生きたいと思ってしまいそうだったから死んだなんて、苦しい。こんなに重い愛してるなんて受け取ったことが無い。そして、愛していた人の自殺した部屋で、血の付いたまま生活していくなんて正気の沙汰とは思えない。それでも、過去に縛られてしまうのか。

 

例の兄弟の、2人で1人の種明かしは、納得もしたのですが倫理的に不気味で、それでも本当にありそうだなというリアリティーを感じた。しかし、許せないという気持ちが強い弟が兄をめった刺しにして殺すシーンは、狂気すぎて驚きを隠せなかった。許せないという気持ちで、彼女も、弟も動いていたが、結末はそれぞれ違う。その差は、大きい。愛とは何か、増悪は罪か、死ぬは、生きるは罪か、たくさん考えてしまった。

 

(20代女性)

 

 

 

 

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加藤 シゲアキ
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