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読書感想文「よだかの片想い(島本理生)」

「よだかの片想い」の読書感想文

この本は、図書館に行った時にカウンターの前に数冊置かれているものの中の1冊だった。テンション的に精力的なものや夢物語のようなものは読みたくなかったので、タイトルに惹かれてなんとなく借りた。

小説は途中で読み止めることの方が多いが、顔に大きなアザのある大学院生の女性の話で引き込まれていった。

物語は主人公アイコの中学、高校での辛い体験から始まり、理系の大学院で研究をしているときにひょんなことから顔にアザや怪我のある女性のルポルタージュの本の取材を受けることになり、その表紙の写真を依頼され、悩んだ末に引き受けると、その流れで普通なら知り合うことがなかっであろう映画監督の飛坂逢太と知り合い、恋愛関係になる物語だ。

全く恋愛経験のないコンプレックスを抱えたアイコと職業柄女優さんとも浮名を流す恋愛経験豊富な男性という設定に興味を惹かれた。2人の置かれている立場の違い等もあり、恋愛は成就しないが、飛び込んでいったアイコの勇気を称賛したい。

また、アイコに関してだが、顔にアザがあることは確かに辛いことだろうが、愛のある家庭に生まれ、理系の大学院に進む頭脳があり、その研修室の仲間にも恵まれ、幼なじみに心を許せる女友だちがいて、失敗ばかりしてきた50代の私には正直羨ましく感じられた。

羨ましく感じたシーンの1つは、アイコと飛坂が一緒に夏祭りに行ったときに、アイコのアザを見て陰口を言った人に対して、飛坂が注意をしてアイコを守ったシーンだ。

2つ目は、飛坂がアイコを家まで送っていったときに、偶然アイコの母親と鉢合わせになり、なりゆきでアイコの家で夕ご飯一緒に食べえることになり、その場面で母親が「恋愛をしてたくさん傷ついて強くなっていくことはいいことだと思うが・・・」みたいなことを飛坂に言うシーンで、私の母親は語彙が乏しく、思いやりもないので、とてもうらやましく感じた。

3つ目は、研究室の同僚の男性が、アイコからもらったおみやげを他の人にけなされたときに、「これは大事なものだ」みたいなことを言うシーンだ。

どんなハンディキャップやコンプレックスがあっても人を愛することができる人は、愛された経験のある人のような気もした。読んで良かったと思える本だった。

(50代女性)

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