読書感想文「スピリチュアルズ「わたし」の謎（橘玲）」

「スピリチュアルズ「わたし」の謎」の読書感想文

『スピリチュアルズわたしの謎』は、人類が長い間抱えてきた「わたしは何者か」という謎に挑むことを著者の課題としている本です。本書は、新しい心理学スピリチュアル理論を通じて、わたしたちがたった8つの要素で構成されていることを解決方法として提示しています。

心理学で人の特性を分類するのに使われるビッグファイブというものの解説書のような本で、パーソナリティ形成について面白く学ぶことができました。スピリチュアルズというワードから想像したのが「魂」とか「精神世界」だったので、スピ系の本かと思ったらぜんぜん「心理学」に寄った本でした。

心理学はあまり詳しくないのですが、「わたし」を見える化するための要素として「ビッグファイブ」という分類法が革命的でよく使われるようです。著者は一部分解したり追加したりして、「ビッグエイト」という概念を作り出し、わたしたちを構成する8つの要素をオリジナルで展開しています。

すなわち、パーソナリティを構成する8つの要素は以下の通りです。① 外向的/内向的：明るさや暗さによって特徴づけられます。人の社交性やエネルギーの向きを表していて、明るさや暗さがパーソナリティ形成に大きな影響を与えることが分かりました。

② 楽観的/悲観的：精神的な安定度を示します。人の見方や考え方に影響を与え、楽観的な人と悲観的な人ではパーソナリティに違いが現れることが興味深いです。③ 同調性：他の人との協調性を表します。人の社会的な関わり方や他者との関係性に関わっており、同調性が高いか低いかでパーソナリティが形成されることが分かりました。

④ 共感力（同調性を分解）：他者への共感の度合いを示します。他人の感情や立場に対する共感力を表しており、パーソナリティの特徴として重要な役割を果たしていることが興味深いです。⑤ 堅実性：信頼性や安定性を示します。人の責任感や信頼性に関係し、堅実性がパーソナリティ形成において重要な要素であることが分かりました。

⑥ 経験の開放性：新しい経験に対する開放性を表します。人の創造性や好奇心に関わり、経験の開放性がパーソナリティの多様性や柔軟性を反映していることが興味深いです。⑦ 知能（追加）：知的な能力を示します。この要素が追加されたことで、知性がパーソナリティにも影響を与えることが明確になりました。知的な能力がパーソナリティ形成に重要な要素であることが分かります。

⑧ 外見（追加）：魅力や容姿の印象を示します。外見がパーソナリティ形成に影響を与えるという考えは、興味深いものです。本書では、外見が他人との関係性や自己評価に影響を及ぼし、パーソナリティの形成に関連する要素として挙げられています。外見は私たちが他者とのコミュニケーションや社会的な対応をする際に重要な要素です。

人は他者の外見から第一印象を形成し、それに基づいて相手を評価する傾向があります。外見の魅力や容姿は、他人からの評価や扱いを受ける上で一定の役割を果たすと思います。　また、外見は自己評価にも影響を与えます。自身の容姿に満足しているかどうかは、自己イメージや自信に関わってきます。

外見がパーソナリティ形成に影響を与えるとすれば、自身の外見に対する認識や受け入れ方が、自己の特性や性格形成に反映される可能性があると考えられます。しかしこの点については、外見が全てではなく、他の要素との相互作用や環境要因も関与していることを理解する必要があります。

個人のパーソナリティ形成においては、外見だけではなく、他の要素や経験も重要な役割を果たしているのではと思いました。　総じて、本書において外見がパーソナリティ形成に影響を与える要素として追加されたことは興味深いです。

これにより、パーソナリティの形成は単一の要素によるものではなく、多様な要素が絡み合い、相互に影響しあっていることが示されているのではと考えました。　また、特に、興味深いのが、パーソナリティの形成が「遺伝と子どものころの友達グループのなかでの同一化と差別化」というところです。

親の教育よりもどのグループに属し、そのなかでどういうキャラを確立したらよいかという適応によってパーソナリティが形成されるとのことです。そして、外見もパーソナリティ形成に影響すると言い切っています。

幼稚園・小学校・中学校での生活のなか徐々に構築された、という文章は納得感がありました。世間では遺伝子が影響するという概念から「親ガチャ」という言葉が流行ってますが、個性への影響という面では経済力はそこまで影響しないという見解でしたが、私個人の感想は、「遺伝子と親の教育方針」が相当影響するのではないかと、著者と若干違った見解でございましたが、考えさせられる名著だと思いました。

（40代男性）