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読書感想文「偽姉妹(山崎ナオコーラ)」

「偽姉妹」の読書感想文

本当に血の繋がった姉妹だからこそ、本音で物が言えなかったり、よそよそしく接しなければならないということは、私自身も経験があるので、大変共感できました。

その点、主人公は容姿に恵まれていないものの信頼できて、考え方や興味の対象が同じ方向を向いている友人がいるところ。そしてその女友達と姉妹関係を築き上げていくところは、なかなかに斬新だ。叶姉妹や阿佐ヶ谷姉妹の例を挙げて説明する主人公が登場する。

主人公の境遇も現代社会の抱える問題として至極自然に思えますし、もしかしたらこれからはこういった偽姉妹が増えていくことになり、それがトレンド化して、気づけば当たり前のご時世になっているような気もしなくありません。

なぜなら、超高齢化社会を世界に先駆けて突っ走る日本です。男性より女性の方が圧倒的に寿命が長いわけですから、気づけば女性ばかりで暮らしていたということがあっても何ら不思議ではなく、むしろそうやって支え合って生きていくしかないようにも感じます。

そういう先々を見据えた視点でもって作られたストーリーには、まんざらフィクションではないリアリティがあると思いました。

そして、最終的に偽物とか本物とか関係ないという当たり前のことを教えてくれる、というより気づかせてくれるあたりがじわじわくるものがありました。例えて言うなら、ぽかぽかと暖かな陽光が差し込む窓辺のような感じです。

本作では何十年も平和に一緒に生きることのできた主人公ですが、続けるために続けるのではなく、続くかどうかわからないけれどやってみようといった気持ちや思いが成就した結果なのではないかと感じさせられました。

(40代女性)

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