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読書感想文「辞令(高杉良)」

「辞令」の読書感想文

「このやろー!」これが私がこの小説を読んで思わず声を出してしまった時の台詞です。ファミリー企業の悪党のやることに心の底から憎しみが湧きました。現代の世の中は大手企業に限らず、中小企業、零細企業でもアンフェア―な出世争いや覇権争いがあってうんざりされているサラリーマンの方々が多いと思います。

この小説を読んでさらに多くのサラリーマンが可哀そうに思いました。きちんと評価されない出世争いは非常にバカらしく、そんなくだらない事に使うエネルギーがあるのなら、生産的な事か、社会が繁栄する方向に使いなよと思いました。

しかし、思い起こせば、私が体験したバブル期って、この小説に描かれている通り、札束が飛び交うイメージと、銀座の夜の蝶のイメージがありました。モラルを無視してゴマすりに徹する人、おかしな人事異動に、不祥事、汚職事件など、とても残念で寂しい気持ちになりました。

個人的には、マイホームを建てた人が遠くに飛ばされるケースを何度も思い出して、やるせない気分になりました。「あいつはマイホームを建てた、近々飛ばされるぞ」という会話を聞く事も珍しくはなかったです。

電話の取次ぎなど現代ではあり得ないシーンを読んで、昔はそうだった、そうだったと思い出して、とても懐かしい気分になりました。人と人との妬み嫉みは現代でもありますから、今後もあり続けるのだろうと予想します。

大企業の事は内部まで関わった事がない私にとって、大企業はこんな事をやっているのかと知る事が出来て、かなり勉強になりましたし、しっかりとした読み応えのような充実感がありました。主人公と料理屋の女将のやりとりも、懐かしくて当時ののりを思い出しました。

理不尽でかなり悲しい内容も多いですが、ハッピーエンドの部分もあってそこまで暗くならずに読み終える事が出来ました。企業の目的や利益を優先されて、人の気持ちをないがしろにされた犠牲者ほど、人の気持ちを大切にするのではないでしょうか。

(50代男性)

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