読書感想文「言の葉の庭(新海誠)」

新海誠監督の新作映画の公開にあたり、本屋で特集が組まれていたので、購入し読んだ。映像を想像しやすいこともあり、すらすらと読むことが出来た。主人公の心の動きが手に取るように分かるし、登場人物全てに感情、気持ちが入っているように感じた。読みながらも、登場人物に熱を感じながら読み進めることが出来たので、感情移入もしやすかったんだと思う。

 

人が人を好きになる、それってきっと何か大きな流れの中で起きるのではなく、一瞬の出来事で恋に落ちるんだなと改めて感じることが出来た作品である。この人良いな〜という気持ちがあるのは大前提なのだけど、それがあって、一緒に過ごす時間の中で、ちょっとしたしぐさだったり、顔の表情だったりと、一瞬なんだなと感じる場面が、主人公と先生の会話の中で感じることが出来た。

 

雨のあの嫌なジメっとした感じも、文章で肌に伝わるような感じがして、自分が梅雨の季節に入り込んでしまったような感覚に陥る作品であった。若い頃の行動って、自分ではそう思っていなくてもそうなってしまうこと、また言葉では伝わらなくても分かるでしょ?

 

という何とも言えない自信もあり、それが伝わらなかった時の空虚感もありというのは、自分もその年齢を過ごしてきたので、気持ちがすごく分かる。ましてや、人を好きになるということは、それが一番出る感情だと感じた。言葉にしなくても、好きなんだから分かるよね?分かってね?という若気の至り、気持ちの押しつけのような。

 

大人になった今、それを読むと、そうじゃないんだけどねというちょっと冷めた気持ちになるのだけど、きっとそれが我武者羅という言葉で、それが一途ということだったのかもしれないなというのを感じました。結末は、私が思っていたようなものではなかったけど、きっとそれぞれがそれぞれの形で幸せを見つけられて、その中で、今まで大切にしたいと一度でも想った人の幸せを時々願うことが出来ているという、続きがあればいいなと感じた作品である。

 

(30代女性)

 

 

小説 言の葉の庭 (角川文庫)

 

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