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読書感想文「君の名は。(新海誠)」

読書感想文「君の名は。(新海誠)」

「君の名は。」の読書感想文①

あとがきの最後の1ページを閉じた瞬間に「よし、もう一度映画を観に行こう」と思わされた小説は初めてかもしれない。今誰もが知っているだろう人気映画の監督が書き下ろした原作小説だ。小説ではなく、映画が原作の書き下ろし小説は近年珍しいと記憶する。映画はとても心が洗われる名作だったが、複雑怪奇なストーリーゆえ、細かな描写が話を繋ぐ鍵となっていて、1度見ただけでは到底わからない。
 
その足で本屋へ出向き、最後の一冊であったこの本を手にしたのだが、この小説は映画と違いまた違う。いや、違うといっても勿論は話は映画と同じなのだが、文章から創造できる世界がまた一味違う。何度もいうが、この本は映画の書き下ろしゆえ、普通の小説よりもどこか脚本のような文体なのがいい。
 
すっと心に入ってくるような文体で、世界がとても創造しやすい。映画で結びつかなかった点と点がきちんと線になるおもしろさ。映画で見落としていた伏線を、しっかりと拾うことができた。ストーリー自体は複雑怪奇、想像もできなかったどんでん返しの連続で読み手をまったく飽きさせない。私は今年30歳の節目を迎えるが、主人公の瀧のような猪突猛進な情熱をなくしているなぁと思った。
 
自分の「夢」という曖昧な世界での現実を信じて情熱を注ぎ、自分の信念を貫き通す主人公。それでも忘れていく儚さと戦う情熱は、とてもファンタジーな物語でありながら現代の日本社会のあり方を問われているような気がした。私はフリーランスのミュージシャンである以上、自分の可能性を信じて突っ走る力はもっているつもりだったが、この本を読んで私も大人になってしまったんだなぁと反省した。
 
自分の見た「夢」の記憶だけを頼りに飛騨までいくような行動力は、はるか昔に置いてきてしまった気がする。フリーランスは売れるまでは常に猪突猛進でいなければ…と気持ちをあらたに頑張ろうと思えた30歳。そして災害大国日本において、いつ何時このような災害が起こるかわからない。毎日を必死に生き、毎日が悔いのないように走りぬくということ。当たり前のようにすごしている毎日の儚さを改めて見つめなおすきっかけにもなった。
 
(20代女性)

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