読書感想文「老後の資金がありません(垣谷美雨)」

誰にでも考えられる身近な「お金」がテーマの小説で、夫と子供2人と暮らす、いわゆる普通のごく一般的な家庭のはずだったのに、気づいたら老後の資金がなくなってしまうというストーリー。それなりに貯金もしてきたのに、娘の結婚資金や義父の葬式費用、義母の生活費と出費が重なり、気づいたら自分たちの老後資金が足りない状態に。

 

さらに追い討ちをかけるように夫の会社が潰れ、自分自身もパートをクビにされてしまい、いよいよどうしようと奮闘する様子が描かれている。最後は犯罪の手助けもするような一幕もあり、お金の怖さをまざまざと伝えられた。主人公は特に派手な暮らしをしていたわけでもなく、節約もしてきた。

 

専業主婦にはならず、自分自身も働きに出て給料をもらうような、一見しっかり者の母親だったが、どこかハッキリとモノ言えない部分もあり、またそこもリアリティがあった。おそらく主人公と自分を重ねて物語を読み進めた人もいるでしょう。娘の結婚資金に関しても納得はいかないけど、でも可愛い娘の晴れ姿にケチをつけたくもない、おそらく誰もが共感できる感情であろう。

 

結婚式や葬式、親の介護費用と、感情と「お金」の現実とをぶつけられるそれぞれのテーマに人ごととは思えず、自分だったらどうするだろうかと考えさせられる。中でも印象的だったのは、主人公が地元の同級生からの電話で『あなたは誰よりも見栄っ張り』と言われるシーンで、個人的には誰でも見栄やプライドはあると思っているので、ここで自分を見栄っ張りだと認める主人公にとても共感をもてた。

 

誰もが陥る可能性がある「お金」の問題。主人公のように自分の家族によって大きな支出を余儀無くされる場合もあるでしょう。そこで見栄やプライドと戦って、自分の意見を伝える大切さや、普段から大切な人と「お金」に関しての話をたくさんしておく必要性を感じさせられた。また節約法も参考にできるものもあったので、多くの人に読んでほしい本である。

 

(20代男性)

 

 

 

老後の資金がありません (中公文庫)
垣谷 美雨
中央公論新社 (2018-03-23)
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